[監督から始まる新シーズン 5]ドルトムントの再生に挑むトゥヘル。王者を率いるペップには不安材料あり

新たな指揮官のもと、ドルトムントは再生を図る

新たな指揮官のもと、ドルトムントは再生を図る

再生はこの男に託された photo/Getty Images

昨季のドルトムントはケガ人の多発もあり、7位という不本意なシーズンに終わった。ひとつの区切りがついたと判断したクロップがチームを去り、トゥヘルが指揮官となった。今季のドルトムントは、トゥヘルとともに新たな道を歩むことになる。

「チームを作るうえで大切なのは、最初に選手同士がお互いの特徴を知ることだ。また、選手と監督もお互いを知らないといけない。監督がなにを考えているか選手は知らないといけないし、選手の考え方、プレイの特徴を監督はよく理解しないといけない」

これは7月上旬に来日したドルトムントのトゥヘルがチーム作りについて語った言葉だ。システムや戦術を早い段階で固めるのではなく、初期段階ではいろいろなシステム、たくさんの選手をテストし、最善のカタチを探る。それがトゥヘルのやり方で、実際にキャンプでは4-2-3-1、4-1-4-1などが試されている。「システムも含めて、どんなカタチで戦うのが最適なのかチーム内で探していく。何度も繰り返して、チームを作り上げていきたい」と語るのはトゥヘル自身である。

移籍が噂されたフンメルス、ギュンドアンなどが残留したことで、主力が数多く残っている。現状、新戦力の補強は少ないが、もともと良質な選手が揃っている。そして、トゥヘルは選手の能力を引き出し、ひとつのチームにまとめるのがうまい指揮官だ。仮にチーム作りが遅れてスタートダッシュに失敗しても、悲観する必要はない。試合を重ねるごとに、ドルトムントは仕上がっていくはずだ。

選手やスタッフとの軋轢も噂されるペップ photo/Getty Images

一方、昨季王者のバイエルンはシュバインシュタイガーがチームを去り、ゲッツェの残留もまだ確定していない。3年目のシーズンを迎えるグアルディオラは「(ゲッツェは)必要な選手だ」と語るが、本人は起用方法に納得していない。また、昨季終盤、バイエルンではメディカルスタッフ4名がいっせいに辞職する非常事態が起きている。これに関しては、ケガ人の多さに納得できなかったグアルディオラが彼らを追放したとされている。結果が求められるプロとして厳しい判断を下したと理解できるが、こうした強引な決断はときに軋轢を生む。

チーム作りにおいても、グアルディオラは選手の特長を生かすというよりも、やりたいサッカーをピッチで体現できる選手を起用する傾向がある。無論、指向するタテに速いサッカーは非常に洗練されており、質の高い選手たちが迫力ある攻撃を見せる。ただ、昨季終盤は失速し、優勝決定後だったが、3連敗もあった。ドイツ杯、CLはともに準決勝で敗退している。そういった意味で、マイスターシャーレは獲得したが、決して満足できるシーズンではなかった。

こうしたなか、シュバインシュタイガーに続いてゲッツェもチームを去ると、不安が少し大きくなる。グアルディオラの言動もあって、今季のバイエルンはよりシビアな目で見られるだろう。もし結果が得られないと、多方面から苦情が出てくる可能性がある。

ボルシアMGのファブレは5年目のシーズンを迎えた

ボルシアMGのファブレは5年目のシーズンを迎えた

攻撃性を増すファブレのボルシアMG photo/Getty Images

2011年2月から指揮を執るファブレのもと、ボルシアMGは堅守速攻のスタイルに磨きをかけ、4 位( 2 0 1 1 – 1 2 ) → 8 位(2 0 1 2 – 1 3) →6位(2 0 1 3 -14)という安定した成績を収めてきた。しかし、中位を抜け出し、上位へ食い込むためには、堅守速攻だけでは厳しい。そう判断したファブレが一昨年あたりから新たに取り組んでいるのが、しっかりと攻撃を組み立てるポゼッションサッカーだった。

なにより、ファブレはもともとパスをつないで攻撃をビルドアップするのが好きな指揮官である。堅守速攻のスタイルが確立され、ジャカ、ヘアマン、ラファエル、クラマー、クルゼなど質の高い選手が台頭してきたことで、ポゼッションサッカーをすることが可能となってきた。結果として、昨季は就任以来最高の3位となってCL出場権を獲得している。

ただ、これまで継続性のある強化を続けてきたが、今季は厳しいシーズンになるかもしれない。攻守のつなぎ役だったクラマーがレバークーゼンへ、昨季チーム最多タイの11得点をあげたクルゼがヴォルフスブルクへ移籍してしまった。もちろん、補強は行なっている。ブンデスリーガで実績のあるドゥルミッチやシュティンドルには、新加入ではあるが即戦力としての期待がかかっている。

ヴォルフスブルクもまた、4年目のシーズンを迎えるヘッキングのもと継続性のある強化を続けてきたチームだ。指向するのはムダな横パスをせず、シンプルに素早くタテにつないでゴールを目指すサッカーで、昨季はドイツ杯に優勝を飾っている。なによりヴォルフスブルクには潤沢な資金があり、ビッグネームを獲得できる素地がある。ここ数年の一番のヒットがデ・ブルイネで、キレとスピードのあるドリブルでチームが目指すタテに速いサッカーをピッチで体現している。

昨季冬の移籍ではシュールレを補強し、今夏はクルゼの獲得に成功している。両名はいずれもドイツ代表である。さらには、昨季チーム最多の16得点を奪ったバス・ドストも健在だ。ブンデスリーガ、ドイツ杯、CLを戦い抜くため、移籍期限の8月31日までヴォルフスブルクの補強は続く。戦術が明確なヘッキングのもと、ヴォルフスブルクが今季もまたタイトルを獲得してもなんら不思議はない。

文/飯塚 健司

theWORLD164号 7月23日配信の記事より転載

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