[14-15シーズンまとめ 4]失意のドルトムント。クロップ退団で一時代が終焉

序盤は5連敗もあり、一時は最下位に沈む

序盤は5連敗もあり、一時は最下位に沈む

香川を抱きしめるクロップ。この光景も、もう見られない photo/Getty Images

昨季のブンデスリーガ得点王であるレバンドフスキをバイエルンに強奪され、守備の要であるフンメルスが負傷しているなど、開幕当初のドルトムントにはたしかに一抹の不安があった。しかし、昨季セリエAの得点王であるインモービレ、さらにはコロンビア代表のアドリアン・ラモスを獲得していたし、ロイスやオーバメヤンも健在だった。バイエルンの3連覇を止めるとしたら、やはりドルトムントだと考えられていた。

ところが、レバンドフスキの穴を埋めるどころかケガ人が続出し、新戦力を加えたチーム作りがまったく進まなかった。とくに、ボランチを固定できなかったのが痛かった。年齢差が実に12歳というケール、ヨイッチというダブルボランチで序盤戦は戦ったが、攻守両面で力強さがなかった。スベン・ベンダー、ギュンドアン、シャヒンなど本来は質の高いボランチを揃えるが、いずれもケガによってシーズンをフルに戦えなかった。

とはいえ、まさにケガの功名で、主力が次々に戦線離脱したことで第4節マインツ戦では丸岡が交代出場し、ブンデスリーガにデビューを果たした。試合には0-2で敗れたが、丸岡にとっては貴重なプレイ機会となった。なにしろ、丸岡の出場はシーズンを通じてこの1試合のみだった。

第3節からドルトムントに復帰した香川も、状況を改善することはできなかった。第4節マインツ戦に敗れてから第10節バイエルン戦まで7試合連続で勝利がなく、その間の成績は1分け6敗だった。この時点で順位は17位で、第13節フランクフルト戦に0-2で完敗すると、ついに最下位へと転落した。「ロッカーではみんなが考え込んでいた。試合後の雰囲気は最悪だった」と語ったのは、フランクフルト戦後のスベン・ベンダーである。

ドルトムントはクロップ監督によって戦うスタイルが確立されていて、選手が入れ代わってもここ数年は高いパフォーマンスが発揮されていた。しかしそれは、1人、2人が抜けたというレベルの話で、多くの主力が戦線離脱した今季の序盤から中盤は状況が少し違った。新戦力のインモービレ、アドリアン・ラモスは結果を残せなかったが、決して彼らだけの責任ではない。完成したパズルからひとつかふたつのピースが抜けただけの状態なら、彼らがそこにハマッたかもしれない。しかし、今季途中までのドルトムントはいくつものピースが欠けていて、完成形さえ見えていない状態だった。シーズンの折り返しとなる第17節を終えて、17位に沈んでいた。冬にウィンターブレークがなかったら、そのまま降格争いにからんでいたかもしれない。

クロップが退任を発表後、4勝1分け1敗で駆け抜けた

クロップが退任を発表後、4勝1分け1敗で駆け抜けた

7年間の在任中に、クロップはドルトムントに多大な功績を残した photo/Getty Images

約1か月のウィンターブレークを使って、ドルトムントは戦術の徹底を図った。ケガ人も徐々に復帰し、後半戦がはじまると試合を重ねるごとに本来の姿を取り戻していった。第20節フライブルク戦から第23節シャルケ戦までは今季初の4連勝を達成。順位も10位まで上がった。前線に固定されたオーバメヤン、2列目両サイドのムヒタリアン、ロイス、そしてトップ下の香川が流動的な動きでゴールチャンスを作るサッカーが復活し、ジワジワと勝点を積み上げていった。

しかし、上位との連戦だった第27節バイエルン戦(●0-1)、続く第28節ボルシアMG戦( ●1-3)に連敗すると、クロップ監督が今季限りでの退任を表明した。「(クラブと)退任の話をするのは難しい問題だった。しかし、プロである以上、いつかは決断しなければならなかった」

ドルトムントの監督に就任したのは、2008年7月だった。そこから7年間で、ブンデスリーガに2度、ドイツ杯に1度優勝を飾った。CLファイナルにも進出し、ヨーロッパ・チャンピオンまであと一歩のところまで迫った。こうしたドルトムントの快進撃の背景には、各選手が攻守両面で連動する組織的なサッカーを志向しながらも、一人ひとりの個性を最大限に生かすチーム作りに努めた人情派の指揮官、クロップの存在が間違いなくあった。

その後のドルトムントは、有終の美を飾るべく高いモチベーションを維持して戦った。退任を表明した直後の試合となった第29節パーダーボルン戦に3-0で快勝すると、最終節までの6試合を4勝1分け1敗で乗り切り、7位まで順位を上げてシーズンを終了している。

クロップの退任によって、ドルトムントは一時代の終焉を迎えたといえる。来季から指揮を取るトゥヘルは過去にマインツでクロップとともに働いており、師匠から弟子へとチームが受け継がれるカタチになる。しかし、監督が変わればチームはやはり変わる。ケールが引退を発表し、ヴァイデンフェラーはチームを去ることが濃厚だ。

一方で、フライブルクからビュルキ、レバークーゼンからカストロを獲得し、マインツからホフマン、シュツットガルトからライトナーが戻ってくることが決定している。フンメルスやロイスにも移籍の噂がある。来季のドルトントは、新監督のもと新たなスタートを切ることになる。

theWORLD163号 6月23日配信の記事より転載

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