[14-15シーズンまとめ 3]夜明け前が一番暗い。もがき苦しんだミランとインテル

欧州で実力示したユヴェントス。だが、まだ役者が足りない

欧州で実力示したユヴェントス。だが、まだ役者が足りない

天を見上げる本田。ミランは失意のシーズンとなった photo/Getty Images

イタリアのカルチョは復権に向けて最初の一歩を踏み出した——。それをヨーロッパに、そして世界に印象づけたシーズンだった。ユヴェントスがチャンピオンズリーグ決勝まで進んだインパクトは強烈で、ヨーロッパリーグではベスト4にナポリとフィオレンティーナが残った。右肩下がりを続けてきたイタリアサッカーだが、トレンドが変わったように映る。

だが、まだ役者がそろっていない。ミラノの2チームが上位にいないうちは、“強いセリエA ”の復活を宣言することはできない。最終成績はインテルが8位で、ミランが10位。まさに中位である。復権のきっかけはユヴェントスがつくった。それを持続させるためには、国内の競争力が必須だが、今の状況が続くとこれ以上の進歩はないだろう。本格的なセリエA復権のカギを握るミラノの14-15シーズンを振り返ってみよう。

不振のままシーズンを終えた2チームだが、内容は大きく違った。だが、確固たる信念がどちらにも欠けていた印象はぬぐえない。ユヴェントスはカルチョーポリの後、セリエAに戻ってきてもしばらく低迷が続いた。だが、補強に関してはトップレベルのイタリア人選手をかき集めて土台をつくり、そこに国外の優秀な選手を数人加えるというはっきりとしたプランがあった。

では、ミラノの2チームはどうだろうか。指導者経験のないクラレンス・セードルフを招へいしたが、うまくいかず、同じように経験不足のフィリッポ・インザーギを監督にして失敗を繰り返したミラン。そしてシーズン途中でワルテル・マッツァーリ前監督を解任してロベルト・マンチーニ監督を招へいしたインテル。どちらも揺れている。

プランを明確にしなければ、ミラノ勢の未来は見えない

プランを明確にしなければ、ミラノ勢の未来は見えない

マンチーニ監督のもと、再生途上のインテル photo/Getty Images

だが、インテルはすでに飛躍に向けた助走を始めた印象だ。チームづくりに時間をかけるタイプであるマッツァーリを収穫期前に“切った”ときは疑問に思ったが、現在はマンチーニを中心に立て直そうという意欲が見られる。カリスマを絶対的な中心に据えることを確固たる信念とし、方向性をより明確にした。もちろん、15-16シーズンに結果が出なければすべて水の泡だが、再生に向けた最初の数手に間違いはないように感じる。マンチーニとしても、ヨーロッパリーグ出場権まで逃すことは予想していなかっただろうが……。

一方のミランは、ほとんど得るもののないシーズンだったと言ってしまいたい。内部が一枚岩でないことは周知の事実で、クラブ買収問題もあった。こういった上層部の問題がピッチに影響した部分はある。かつてのスターであるピッポ・インザーギに監督を任せることで、ファンの積年の不満に対処したことは悪いことではないが、それだけでは意味がない。経験不足は明らかだった。シーズン終盤になってもチームのアイデンティティーが見えてこない戦いぶりでは、いろいろと難しい状況にあったとしても、指導者の責任が問われても仕方ない。格下の相手がオートマティックな動きに磨きをかける中、1年経っても目指すサッカーが見えなかったミランは、見ていて歯がゆかった。

ミラノがイタリアサッカーの中心と思われた時代もあった。しかし、14-15シーズンはトリノ勢(ユヴェントスとトリノ)、ローマ勢(ローマとラツィオ)、ジェノバ勢(ジェノアとサンプドリア)に完全に敗北してしまったのは、順位においても内容においても明らかだった。

ユヴェントスがスクデットを取り戻したのは11-12シーズン。2シーズン連続の7位が続いた後だった。ミラノの2チームも、そろそろ不要なプライドがそぎ落とされた頃ではないだろうか。“夜明け前が一番暗い”という言葉もある。ミラノ勢の巻き返しに期待しよう。

theWORLD163号 6月23日配信の記事より転載

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