[14-15シーズンまとめ 2]2強時代は終わらない。カテゴリー分けされるリーガの順位表

最終順位が顕著に表す、上位&下位クラブの歩幅の違い

最終順位が顕著に表す、上位&下位クラブの歩幅の違い

絶対的な天王山となったクラシコ。photo/Getty Images

バレンシアが優勝を果たした2003-04シーズン以降、長らく続いてきたバルセロナ&レアル・マドリードによるリーガエスパニョーラの支配は、昨季にアトレティコ・マドリードが割って入り、一度終わりを迎えた。だがアトレティコの指揮官ディエゴ・シメオネは今季開幕前から「我々のリーグに属しているのはバレンシアとセビージャ」であることを強調し続けていたが、結果はその通りとなった。

首位バルセロナ&2位レアルは勝点を90台にまでに乗せ、チャンピオンズリーグ(CL)出場権を争った3位アトレティコ、4位バレンシア、5位セビージャはそれぞれ勝点78、77、76でフィニッシュしている。

昨季の優勝争いを振り返ると、アトレティコは勝点90を獲得して18年ぶりのリーガ制覇を果たし、2位バルセロナ&3位マドリードの勝点は87だった。シメオネは再び優勝を果たすためには、アトレティコが予想し得る範囲以上の成果を手にし、またバルセロナ&レアルが昨季のように調子を落とさない限り不可能とも主張したが、やはり2強体制に風穴を空けることは容易ではなかった。

さて、では今日のリーガは競争的なリーグなのだろうか。ある側面を見ればそうであり、違う面を見れば逆の答えとなる。優勝、CL、ヨーロッパリーグ(EL)、残留というそれぞれの争いに焦点を当てれば、そこには大きな熱狂を見ることができる。とりわけ欧州最高峰の大会出場を巡る争いは激しく、CLプレーオフ出場権を獲得した4位バレンシアが手にした勝点77は、勝利で勝点3、引き分けで勝点2を獲得できる現行のフォーマットとなった1995-96シーズン以降では1997-98、1999-00、2001-02、2003-04、2006-07シーズンでは優勝可能な数字である。

一方でEL、残留争いはどうか。1995-96シーズン以降、EL出場圏に位置するために要する平均勝点数は59。今季はバルセロナが優勝でEL出場権を手にできるコパ・デル・レイを制覇し、またセビージャがEL優勝でCL出場権を手にしたためにEL出場圏は6〜7位となったが、そこに位置したビジャレアルは勝点60、アスレティック・ビルバオは勝点55を獲得とほぼ平均的な勝点数で欧州第二の舞台に立つ権利を得ている。

対して、18位以下が降格となる残留争いに関しては、残留に必要な平均勝点が39でありながら今季は35にとどまり、それも14位レバンテ、15位ヘタフェが勝点37、16位デポルティーボ、17位グラナダが勝点35という低水準となった。

残留争いの低水準についてさらに付け加えれば、今季の首位バルセロナ(勝点94)と最下位コルドバ( 勝点20)の勝点差は74と、1995-96シーズン以降で最も大きな差が開いている。ちなみに首位と最下位の差が最も縮まっていたのは2000-01、2001-02シーズンでそれぞれ41、38差。2000-01シーズンは首位レアル・マドリード(勝点80)、2位デポルティボ(勝点73)、3位マジョルカ(勝点71)、2001-02シーズンは首位バレンシア(勝点75)、2位デポルティボ(勝点68)、3位レアル(勝点66)と伏兵が優勝戦線に顔を出す、まさに群雄割拠の時代でもあった。

2強の今季予算はバルセロナが5億900万ユーロ、レアルが5億2000万ユーロで、残留争いを演じたクラブの予算は1500〜3000万ユーロ。1990-2000シーズンにはバルセロナの予算が1億1800万ユーロ、レアルが1億1900万ユーロだったが、グローバリゼーションの波に乗る彼らの大きな歩幅と比べて下位クラブの財政的成長は乏しく、今季のリーガの順位表にはそれが顕著に表れている。

今季にはバルセロナ&レアルが総収入の40%近くをシェアしてきたリーガのテレビ放映権ビジネスにおける改革があり、これまで各クラブが個別に契約を交わしてきた試合放映権が一括で管理されることになった。しかし現状では財務省に多額の債務を抱えるクラブへの救済策であり、スペイン政府が法令を可決した理由もそこにある。新たな放映権の分配モデルは2強中心に伝統あるクラブを重視するセリエAに似たものだが、それがリーガに競争力を植え付けるのはまだまだ先のことであり、下位クラブはよほど奇特な投資家でも現れない限りは今後も取り残され続けるだろう。

続く2強時代、変革によっても揺るがないヒエラルキー

続く2強時代、変革によっても揺るがないヒエラルキー

セビージャはELを制し、来季はCLに挑む。photo/Getty Images

その問題よりも先に解決されるのは、バルセロナ&レアルのタイトル独占か。特にスペインで2強に次ぐクラブ会員数を誇るアトレティコとバレンシアは、内在していたポテンシャルをようやく生かし始めている。シメオネの監督就任で、ようやく“お得意”の乱調を葬り去ったアトレティコは、コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーとの相談によって組織改編に乗り出し、世界戦略をベースにして現予算1億5000万ユーロを3年以内に2倍とすることを計画。中国不動産大手ワンダ・グループ会長である王建林の資本参加も発表された。一方でシンガポールの投資家ピーター・リム氏による買収が決定したバレンシアも、監督ヌーノ・エスピリトの手腕もあって予定通り1シーズンでCL出場権を獲得し、来季から真のビッグクラブへと進化を遂げるプロジェクトに本格的に着手することになる。彼らが順調に成長を遂げていければ、優勝争いに昨季のような風を送り込む可能性も十分にあるはずだ。

順位表は一つでありながら、優勝、CL、EL、残留争いでカテゴリー分けがなされるリーガ。スペインプロリーグ機構(LFP)会長のハビエル・テバスは、2強を主役にするといったヒエラルキーが生じさせる魅力の必要性を強調しながら、将来的には競争力のあるリーグとすることを標榜する。だが現状では、今後も2強体制は続き、アトレティコ&バレンシアといった中堅が彼らを追い、下位クラブは離されていくという構図が繰り返されるはずだ。ただ、それでもサッカーはスペインで最も人気があるスポーツであり、各クラブのファンは一喜一憂し続けている。その情熱が失われない限り、リーガは各地域が特色を有するスペインのフィルターであり続けるのではないだろうか。

たとえカテゴリー分けがなされていたとしても、レアル&バルセロナがスペイン中のスタジアムを訪れ、強烈なブーイングを浴びせられることに変わりはないのである。

theWORLD163号 6月23日配信の記事より転載

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