[女子W杯]”ライオネス”の躍進はイングランドに何をもたらしたのか?

イングランドに惜しみない拍手を

イングランドに惜しみない拍手を

オウンゴールのバセットを慰める選手たち。彼女を責めることは誰にも出来ない。photo/Getty Images

カナダW杯準決勝でサッカーの母国イングランド女子代表は日本代表と対戦し、1-2で敗れ、初の決勝進出の野望は絶たれた。同国がW杯のセミファイナルに進出するのは男女通じて1990年イタリア大会の故ボビー・ロブソン監督に率いられた男子代表以来であり、女子代表としては初となる快挙だった。

イングランド国内は今大会の“ライオネス”(女子代表の愛称)の快進撃に大いに盛り上がり、メディアは連日彼女たちの躍進を報道し続けた。それは、男子代表に対する辛辣極まりない見方とは明らかに異なるものだった。国営放送の『BBC』で日本戦を見た人々は1000万人を超えていたことが、その注目度を如実に物語っていると言える。人口から逆算すれば、イングランド人の約5人に1人がこの試合を見ていたということになる。

試合は両チームにPKが与えられ、それぞれの見せ場が交互に訪れる非常に拮抗した展開となった。92分にDFラウラ・バセットの残酷なオウンゴールが試合を決めてしまうまでは、誰もが延長戦を覚悟したことだろう。何が試合を分けることになるか予想することの出来ないゲームだった。

この敗戦を、国内ではどのように受け止めたのだろうか。『BBCスポーツ』では、国内のサッカー関係者のコメントが掲載されたが、その何れも、彼女たちを批判したり茶化したりするものではなく、惜しみない賞賛の言葉の数々だった。

以下、その幾つかを紹介したいと思う。

・イングランド女子代表FW:ナターシャ・ドビー(27)
「イングランドの選手たちははっきりとした遺産を残したわ。それが続いてくれたらと思う。彼女たちの成し遂げたことに対する国民の関心は驚くべきものだったわ」

・元イングランド女子代表FW:スー・スミス(35)
「彼女たちを誇りに思わなければならないわ。身の毛のよだつような敗戦ではあるけれど、選手たちの功績を喜ばなくちゃね」

・元イングランド男子代表FW:トレバー・シンクレア(42)
「もし彼女たちが帰ってきたら、『ヒロイン』として迎えられるべきだ。もっと女子サッカーに対するサポートが必要だし、子供の頃からサッカーをプレイ出来る環境を整備しなくてはならない。10年後、今月カナダでプレイした選手に影響を受けた選手が出てくることを願いたいね」

シンクレア氏のコメントからは、今大会での躍進は国内で女子サッカーに対する注目度、見方を大きく変えるものであったことが分かる。それはちょうど、4年前に日本がW杯を初制覇したときの状況と似通っている。100年以上のサッカーの歴史を持つ同国でも、女子サッカーの認識は大いに向上の余地を残しているようだ。カナダでの快挙が、今後の発展の最初の一歩になることがこれからは期待される。

土曜日には3位決定戦でドイツと対戦するイングランド。有終の美を飾る勝利を収めることは出来るだろうか。しかし、結果に関わらず“ライオネス”が国民から暖かく迎えられることを願ってやまない。

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