[コパ・アメリカを語れ! 4]ウルグアイ、パラグアイの愛称に秘められた「インディオの爪と血」とは!?

前回ファイナリストの国旗が語る、血塗られた南米の歴史

前回ファイナリストの国旗が語る、血塗られた南米の歴史

南アW杯で、ハンドでゴールを阻止したスアレス。国民には「ガラ・チャルーア」の体現と映り、賛辞が贈られたという。photo/Getty Images

6月12日から7月4日までチリで44回目を迎える「南米最強国決定戦」のコパ・アメリカが開催される。南米サッカー連盟(CONMEBOL)に加盟する10の国と、招待国のメキシコとジャマイカの計12チームが出場する。そんな南米の代表チームの愛称の多くは、開催国で初優勝を目指すチリ代表が国旗にちなんで「赤い軍団」を意味する「ラ・ロハ(La Roja)」であるように国旗の色(=ユニフォームの色)である。ただ、個性的な愛称もあり、今回はその中の2つを紹介したい。

まずは前回大会王者であり、15回の最多優勝を誇るウルグアイ代表。ウルグアイは1810年、アルゼンチンの独立を受けて、翌年にスペイン支配から脱却しようとしたものの失敗。1 8 2 0年にブラジル領となった後、1825年に再び、独立戦争を再開したが、アルゼンチンの国土拡大を望まないイギリスの仲介にあって、1928年に国家として独立を果たした。

ウルグアイの国旗は、隣国アルゼンチン国旗の影響で、同じ空色(水色)と白が採用された。ちなみに、アルゼンチン代表は、ブラジル代表の「セレソン(s e l e ç ã o)同様に「代表」を意味する「セレクシオン(S e l e c c i ó n)」と呼ばれることもあるが、水色と白を意味する「ラ・アルビセレステ(L a A l b i c e l e s t e)」という愛称で親しまれている。

ウルグアイ代表が、国旗にちなんだホームユニフォームの空色一色のユニフォームを使用し始めたのは1 9 1 0年のこと。首都モンテビデオで行われたアルゼンチンとの一戦に3-1で勝利、スペイン語で空色軍団を意味する「ラ・セレステ(L a C e l e s t e )」となった。

もう1つ、ウルグアイならではの代表の愛称がある。かつてウルグアイを中心に住んでいたインディオのチャルーア族にちなんだ「ロス・チャルーアス(Los Charrúas )」。このインディオたちは16世紀には当時スペインの支配下にあったブエノスアイレスを攻撃し、1756年の戦争においては最後までスペインに徹底抗戦。さらに、19世紀初頭に独立戦争が始まると、スペイン軍の打倒にも協力した。だが、独立後の1831年にはウルグアイは逆にチャルーア族を恐れて、軍隊を派遣。結局、独立戦争に参加したために千人ほどに減少していたチャルーア族は、ほぼ絶滅してしまったという。

最後まで戦ったチャルーア族の勇気、力強さ、激しさはウルグアイ人にとっての誇りで、「チャルーアの爪」を意味する「ガラ・チャルーア(garra Charrúa )」という言葉は特にスポーツにおいて、ドイツの「ゲルマン魂」や日本の「大和魂」のようなウルグアイ人の魂や不撓不屈の精神を表す言葉として使用されている。

チラベルトが掲げる誇り「これが俺たちの血の証」

もう1つは優勝2度を誇る堅守速攻のパラグアイ代表である。もちろん国旗にちなみ、スペイン語で「白赤軍団」を表す「ラ・アルビロハ(La Albirroja)」という愛称もある。もう1つの愛称は、現在でもわずかだが住んでいるという、インディオの民族名にちなんだ「ロス・グァラニエス(Los Guaraníes)」だ。

パラグアイは、なんと白人との混血であるメスティーソの割合が95%(外務省HPより)という数字が物語っているように、“メスティーソの国”である。つまり、パラグアイ人のほとんどには「グァラニー族の血」、つまり「サングレ・グァラニー(Sangre guarani )」が体を流れている。そのため現在でも最後まで諦めず戦う精神を持ち続けており、パラグアイ代表が「ロス・グァラニエス」という愛称で呼ばれるのは当然であろう。

1998年のフランスワールドカップの決勝トーナメント1回戦で、フランスに惜しくも0―1で敗れた後、GKホセ・ルイス・チラベルト主将はこう語って開催地だったランスの地を去ったという。「俺たちは胸を張ってパラグアイへ凱旋する。フランス戦で見せた選手たちの根性こそ、グァラニー族の血の証だ」

インディオの爪と血――コパ・アメリカでのウルグアイ代表とパラグアイ代表の奮闘に期待したい。

※theWORLD162号、5月23日配信の記事より転載。

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