名良橋晃の定点観測♯9「ネルシーニョも注目するヴィッセル神戸の藤谷(17歳)の今後が楽しみ」

攻撃的に戦うC大阪だが、サッカーは名前では勝てない

攻撃的に戦うC大阪だが、サッカーは名前では勝てない
今季のJリーグはJ1もJ2も昇格チームの躍進が目立ちます。J1では湘南、松本、山形の3チームがそれぞれ自分たちのスタイルで戦い、結果を出しつつあります。たとえば山形は、石﨑監督のもと昨季から積み上げてきたアグレッシブさを継続し、ホームで川崎や柏から勝点3を奪っています。松本も同じように、J2時代と変わらない各選手がハードワークする戦いを続けることで着実に勝点を得ています。

湘南も自分たちのスタイルを遂行したときは勝つことができています。ただ、スタイルは持っていますが、自陣に引いた相手を崩せないという課題があります。前線にタテパスを入れるタイミングがつかめず、トップ下にいる2シャドーをまだ十分に生かし切れていません。サイドからの攻撃は十分に迫力があるので、今後、うまいタイミングでタテパスが入り、前線にタメを作れるようになると、いまよりも2シャドーを生かせるようになって得点力がアップすると思います。

J2でもやはり昇格1年目の金沢が上位をキープしています。森下監督のもと継続した強化を続けていて、組織的な守備から鋭いカウンターを仕掛け、ゴールチャンスを作り出しています。辻尾が蹴るセットプレーは精度が高く、水永、作田、太田、チャ・ヨンファンなど空中戦に強い選手もいます。中盤には決定力のある清原がいて、経験豊富な秋葉がチーム全体を落ち着かせています。正直、ここまで結果を出せると考えていませんでしたが、これがサッカーの魅力なのだと思います。

就任1年目の井原監督が率いる福岡も、ディフェンダー出身の監督が率いるチームらしく、堅守速攻のスタイルで徐々に結果を残しています。この金沢、福岡に代表されるように、今季のJ2はしっかりとした守備ができているチームが上位に進出しています。磐田、千葉、大宮もそうです。

一方で、C大阪は攻撃的なスタイルを打ち出していますが、苦戦を強いられています。アルトゥオリ監督は外国籍選手の3トップを選択していますが、高い位置からの守備を考えると前線から追いかけてくれる玉田、楠神といった選択も必要です。サッカーは名前でプレイするスポーツではありません。アルトゥオリ監督が今後にどんな決断をするのか興味あるところです。

ACLで勝つためには、新しい取り組みも必要

Jリーグから4クラブが挑んだACLですが、柏、G大阪がなんとかベスト16に進出したものの、浦和、鹿島は敗退となりました。Jリーグ勢はなぜ、韓国、中国のチームになかなか勝てないのか? ベスト16を見ると、韓国勢は出場した4クラブすべてが進出しています。中国勢、オーストラリア勢も確実に力をつけています。こうした状況のなか、Jリーグ勢が勝ち上がるためにはなにが必要なのでしょうか?

日本代表のハリルホジッチ監督が指摘するように、球際の激しさ、フィジカルコンタクトの強さが求められるのは言うまでもありません。ハリルホジッチ監督は各クラブにフィジカルを強化するためのアドバイスを送るなど、日本サッカー全体のレベルアップを考えています。もちろん、各クラブにはフィジカルトレーニングの専門家がいて、しっかりとした強化スケジュールのもとトレーニングを続けています。そこに初めて触れる新しい情報が来ると、戸惑うことがあるかもしれません。

日本社会はときに、新しいものを受け入れない傾向があります。日本サッカー協会とクラブの双方が選手についてのデータをお互いに共有し、連係を取って選手のグレードアップに努めるべきです。もちろん、継続することはとても大事です。そこに、良いものがあればどんどん付け加えていく。その都度、良いのかどうかを判断し、取り入れるべきものは取り入れる。そうすることが、日本サッカー全体のレベルアップにつながるとボクは思っています。

日本の選手は高い技術力を持っています。しかし、それだけではACLに勝てません。質の高い選手たちが、どん欲に勝利を目指し、戦う気持ちを持って走り抜かなければなりません。うまくて、走れて、戦える選手たちが揃っていなければ、アジアを勝ち上がることもできません。そう考えると、ハリルホジッチ監督が指摘する球際の激しさ、フィジカルコンタクトの強さを個々の選手が身につける必要があると切に感じています。

最後に、いま気になっている選手を紹介しておきたいと思います。J1第12節の松本-神戸を見たときに、後半途中から出場し、右サイドバックを務めた神戸の藤谷が良いプレイをしていました。現在17歳でU-18所属の第2種登録の選手ですが、攻撃的で運動量があり、タテへの突破力もありました。ボクは現役時代に右サイドバックだったので、やはり同じポジションの選手が気になります。この藤谷という選手はみなさんにぜひ見てほしいです。ネルシーニョ監督も注目しているようなので、今後を楽しみにしています。

構成:飯塚健司

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