【欧州カップ戦枠争いを生き残れ! 2】最もスリリングなCL争奪戦。リーガはデッドヒート必至!

2強+3チームの争い。予算に比例したヒエラルキー

予算1億ユーロ弱だったダビデのアトレティコ・マドリードが、予算5億ユーロを超えるバルセロナ&レアル・マドリードというゴリアテ×2を打ち破ったあの英雄譚から、まもなく1年… …。つまりは、その“まもなく”の間に今季の命運が決定する。

ただし、英雄譚は傑出した物語だからこそ英雄譚なのである。今季のリーガはわずかな例外を除き、予算に準じたヒエラルキーの中で戦いが繰り広げられている状況だ。チャンピオンズリーグ(C L)出場圏となる1位〜4位の争いも、1位と2位に位置するゴリアテ×2が優勝を巡って殴り合いを行っている中、その一つ下の階層で3〜4位の座を確保するためにアトレティコ、バレンシア、セビージャが熾烈な争いを演じている。アトレティコ指揮官ディエゴ・シメオネがシーズン開幕当初に口にした、「今季の我々の敵はバレンシアとセビージャだ」という言葉通りである。

だが、今季のCL出場権争いは例年にも増してタフなものとなっている。いや、格差が広がっているのは各階層で言えることであり、その他のクラブからすればアトレティコ(今季予算1億5000万ユーロ)、バレンシア(7500万ユーロ+クラブを買収したピーター・リムの資金)、セビージャ(1億800万ユーロ)も十分にゴリアテなのだ。リーガ第32節終了時点でのこの3チームのポジションは、3位アトレティコ(勝点69)、バレンシア(勝点65)、セビージャ(勝点63)。ラファ・ベニテスが率いたバレンシアが2003-04シーズンに勝点77でリーガ制覇したが、2強とその他の格差が騒がれ始めた2008-09シーズンより前であれば、この3チームは優勝争いをも演じられるペースで勝ち点を稼いでいる。

残り6試合となったリーガで、勝点6差でひしめく3チームが目指すのは、C Lにストレートインできる3位の座。鍵を握るのは、やはり欧州カップ戦となるだろう。アトレティコは昨季にファイナリストとなったチャンピオンズリーグ、セビージャは優勝を果たしたヨーロッパリーグ(E L)を争っており(こちらは連覇でC L出場権を確保する道もあるが)、その直後の試合でつまずく可能性は十分にある。一方、シンガポールの投資家の買収によって力を増したバレンシアは、リーガ一本に力を集中できるという優位性がある。

CL出場権残り2枠。鎬を削り合う3チーム

ここからはチーム毎に見ていこう。まずポールポジションに立つアトレティコは、残り10節となった第28節終了時点で勝点30中24を獲得すれば3位の座を確保できると見立てたが、それ以降勝点を落としたのはマラガ戦(2-2)のみ。シメオネの哲学“試合から試合へ”は、今現在もしっかりと機能している。残りの日程はエルチェ戦(ホーム)、ビジャレアル戦(アウェイ)、アスレティック・ビルバオ戦(ホーム)、レバンテ戦(アウェイ)、バルセロナ戦(ホーム)、グラナダ戦(アウェイ)となっており、勝点を落とす確率が高いのはアウェイのビジャレアル戦、またホームのバルセロナ戦といったところだろう。だがCLの戦いを加味すれば、マドリーと戦っている準々決勝セカンドレグ直後に行われるエルチェ戦、準決勝ファーストレグ後に臨むレバンテ戦も思わぬ落とし穴となるかもしれない(準決勝セカンドレグ後がバルセロナ戦というのもきつい)。

一方、シンガポールの投資家のクラブ買収によって力を蓄えたバレンシアは、第32節にバルセロナの本拠地カンプ・ノウという誰も行きたくはない歯医者に赴いたばかり。しかしながら、0-2で落としたその試合では、ピーター・リムから「素晴らしいエキシビションを見せてくれた。私のプロジェクトは正しい道を進んでいる」との激励を受けるなど善戦を見せ、チーム全体の士気も上がっている様子だ。こちらの残り試合はラージョ戦(アウェイ)、エイバル戦(ホーム)、レアル戦(アウェイ)、セルタ戦(ホーム)、アルメリア戦(ホーム)となっており、サンティアゴ・ベルナベウ(レアルの本拠地)というもう一つの歯医者に行かなければならない。逃げ切りを狙うアトレティコを追いかけるバレンシアにとっては、シメオネ率いるチームのつまずきに加えて、ベルナベウで結果を手にすることも重要となる。 最後尾につけるセビージャは公式戦ここ12試合を9勝3分けで終えるなど、3チームの中で最も勢いに乗っている。トップ下のバネガ、積極的に飛び出しを見せるボランチのイボラが交互にポジションを代えるというチームの軸となる連動性の確立や、点取り屋バッカの本格的なブレイクが追い風を生み出した。残り6試合はラージョ戦(ホーム)、エイバル戦(アウェイ)、レアル戦(ホーム)、セルタ戦(アウェイ)、アルメリア戦(ホーム)、マラガ戦(アウェイ)。大きな障害は昨年2月から無敗を貫く本拠地サンチェス・ピスファンにレアルを迎える一戦と、EL直後に行われるラージョ戦、セルタ戦、アルメリア戦となる。

以上の3チームにとって、CL出場は重要な収入源の確保であり、2強へと近づく足がかりを手にする方法だ。セビージャの名スポーツディレクターであるモンチが話したように、「選手を売却してやり繰りすることはどこも望んではいない」。中国の大富豪・王健林が資本参加したアトレティコも、リムが買い取ったバレンシアも、ファイナンシャルフェアプレイが存在する現在は、これが階段を駆け上がる正当な道なのである。

マドリー&バルセロナの巨体が2枠を専有するCL出場圏で、アトレティコ、バレンシア、セビージャは残り2枠を求めて、最終節まで激しいデッドヒートを繰り広げるはずだ。

文/江間 慎一郎

theWORLD161号(4月23日配信)より転載

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