【結果を出す監督 5】4大リーグ以外の結果を出す監督たち

CLでチェルシーを破っただけでなく、リーグカップも獲得し評価を上げているPSGブラン監督。photo/Getty Images

名門を1年で甦らせた、アルゼンチンの“変人”

パリ・サンジェルマンの1強時代に突入しているフランス・リーグアンで、名門マルセイユを率いるマルセロ・ビエルサは、今シーズン最も注目を浴びている監督といえる。

ビエルサと言えば、これまでアルゼンチン代表やチリ代表の監督として多くの成功を収めた他、2011-2012シーズンから指揮を執ったスペインのアスレティック・ビルバオでもヨーロッパリーグ決勝に導いた世界有数の大物監督。選手や監督の輸出国であるフランスにとっては、一昨シーズンまでパリ・サンジェルマンの監督を務めたカルロ・アンチェロッティ以来の大物だけに、注目を浴びないわけがなかった。

従って、独自の理論と戦術で名を馳せるビエルサに対しては、開幕前からフランス・メディアも興味津々だった。就任会見では「なぜあなたは変人と言われるのか?」というサッカーとはかけ離れた質問も出たほどであるが、ビエルサは「なぜなら、特定の状況を解決するために私が選ぶ答えのいくつかが、他の人がいつも選ぶものと違っているからだ」と回答。さっそくビエルサ哲学の一端を覗かせ、メディアの関心をさらに高めた。

実際、相手FWの配置によって3バックと4バックを使い分けるビエルサ戦術は、オーソドックスな戦術が主流のフランスサッカー界に新鮮な空気を吹き込んだ。確かにチームを機能させるまでには多少の時間がかかったが、主力が抜けた若手主体のチームは第11節のリヨン戦をきっかけに快進撃。不調パリ・サンジェルマンを尻目に、しばらくリーグ首位を走り続けたことは、その手腕に疑いの余地がないことを改めて証明したと言える。

第29節を終えた時点のマルセイユの成績は、首位リヨンと勝ち点5ポイント差の3位に位置する。このまま行けば目標のチャンピオンズリーグ出場権獲得は濃厚だ。ただし、マルセイユとビエルサとの2年契約の中には、本人の希望により1年での契約解除条項が盛り込まれているため、目下の関心は今シーズン終了後の去就となっている。ビルバオでもそうだったように、今後クラブがビエルサの要望に応えられないようだと、フランスサッカー界はわずか1年で名将を手放すことになるだろう。

その力は実力? 借りもの? 勝負強さは随一

一方、パリ・サンジェルマン率いるローラン・ブラン監督も、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でチェルシーを破ったことにより、その手腕に対する評価が急上昇している。昨シーズンに二冠(リーグ、リーグカップ)を達成したにもかかわらず、これまでは何かとメディアから批判を受けることが多かったブランであるが、実は“勝負強さ”という点ではすでにビエルサ以上の実績を誇っていることを忘れてはいけない。

現役時代にフランス代表として初のワールドカップ(1998年)とユーロ(2000年)優勝の偉業を達成したブランの指導者キャリアは、ボルドーを率いた2007年に始まった。すると、初年度にチームをリーグ2位に躍進させて年間最優秀監督賞を受賞し、2年目にはリーグとリーグカップの二冠を獲得。その非凡な手腕を高く評価され、2010年夏からは改革者としてフランス代表の新指揮官に指名されている。

ただ、監督ブランの成功の陰には、ボルドー時代や現在のパリ・サンジェルマンでもアシスタントを務めるジャン・ルイ・ギャセの力によるところが大きいというのが大方の見方だ。これが、メディアによるブラン批判の根っこにある。しかし、どんなかたちであっても結果を残せば高い評価を受けるのが監督という職業の宿命だとすれば、まだ今シーズン4つのタイトルの可能性を残すブランの手腕を疑うことはできないはず。そういう点では、近い将来ブランが名監督の仲間入りを果たす可能性は十分にある。

抜群のマネジメント力で、代表のサッカーを進化させる

そのブランやビエルサも経験した代表監督に目を向けてみると、現在最も高い評価を受けているのが現世界王者ドイツ代表を率いるヨアヒム・レーヴであることは間違いないだろう。前任者ユルゲン・クリンスマン時代にアシスタントだったレーヴが代表監督となったのは2006年ワールドカップ後で、以降、ユーロ2008で準優勝、2010年ワールドカップと2012年ユーロで3位という成績を残すと、ついに2014年ワールドカップで優勝。これだけの結果を残したのだから、ドイツ協会が契約を2018年まで延長したのも頷ける。

そのレーヴは、スタッフを上手く活用して結果を残すタイプの監督として知られている。チームスタッフや主力選手と綿密なコミュニケーションを図り、その上で物事を決断するそのマネジメント方法は、結果的に長期政権を維持する土台となっている。また、積極的な若手の起用や最先端の戦術を探求する姿勢もチームを停滞させない大きなポイントとなっており、現状からすると、まだドイツ代表が進化を続ける可能性は高い。

2008年から2012年まで頂点に立ち続けたスペイン代表のように、しばらくドイツがこの世の春を謳歌し続けるのか。今後もレーヴが代表シーンの中心となりそうだ。

文/中山 淳

theWORLD160号より転載

記事一覧(新着順)

注目の動画記事

動画記事一覧(新着順)

注目キーワード

CATEGORY:海外サッカー

注目タグ一覧

最新号を無料配信中!
電子マガジン「ザ・ワールド」
No.192 フットボールを進化させる監督たち
theWORLD(ザ・ワールド)は世界中のサッカーを網羅する、日本初のスマートデバイス対応フリーミアム 電子マガジン! 業界屈指の執筆陣によるオリジナルコ ンテンツを毎月23 日に刊行しています。購読にはID登録が必要です。

雑誌の詳細を見る

人気記事ランキング

INFORMATION

記事アーカイブ