【結果を出す監督 4】ブンデスリーガで、最も結果を出すチームの指揮官とは

ヘッキング率いるヴォルフスブルクは、バイエルン1強に歯止めをかける存在になれるか。photo/Getty Images

下位クラブで結果を出し、’13年1月から現職を務める

ここ数年、ブンデスリーガはバイエルンの一強となっている。ドルトムント、レバークーゼン、シャルケなどが後を追ってきたが、その差は縮まるどころか開いている感がある。しかし、今季はひとつのチームが追いすがっている。とはいえ、第25節を終えて首位のバイエルンとは勝点11差だが……。それでも、3位ボルシアMGに勝点9差をつけ、2位の座をほぼ安泰のものとしている。そのチームとは、ヘッキングが率いるヴォルフスブルクである。

ヘッキングは1 9 6 4年9月生まれの5 0歳。2 0 0 0年に現役を引退し、同年にレギオナルリーガ北部(3部)のフェールで監督生活をスタートさせた。その後、2部のリューベックで監督を務め、0 3 - 0 4シーズンのドイツ杯ではチームを4強へ導いている。すると、同じ2部のアーヘンに引き抜かれ、0 4 - 0 5シーズンには2部チームでありながらU E F Aカップでベスト3 2まで勝ち上がり、0 5 - 0 6シーズンには2部2位となって1部昇格を果たしている。

ヘッキングは選手との対話を重視するタイプで、とくに若手の成長を促す手腕に定評がある。下部リーグから積み上げてきた実績が評価され、06-07シーズンにはアーヘンから1部でより上位クラブであるハノーファーに引き抜かれている。こうして経歴を振り返っていくと、シーズン途中の引き抜きが何度か出てくる。09-10シーズンも第2節を終えてハノーファーの監督を辞任し、しばらく休養の後に第20節からニュルンベルクの監督に就任するという奇妙な動きを見せている。

おかしな人事異動はその後も続いた。ニュルンベルクを指揮していた12-13シーズンの第17節を終えて辞任し、第18節から現職であるヴォルフスブルクの監督に就任している。下位に低迷するヴォルフスブルクが資金力にモノをいわせて強奪したとされる“事件”で、13年1月のことだった。

一時は矢面に立たされたが、レギオナルリーガ北部から指導歴をスタートさせたヘッキングにとって、結果を残し続けることで到達した最高の職場である。なにしろ、ヴォルフスブルクはフォルクスワーゲンをスポンサーに持つブンデスリーガでも屈指の裕福なクラブなのだから。

たしかな手腕を持ち、下部リーグから成り上がってきたヘッキング。潤沢な資金を背景に良質な選手を揃えるが、監督選びに失敗していたヴォルフスブルク。両者がタッグを組んだことで、流れが変わった。ヘッキング体制になって3年目の今シーズン、ヴォルフスブルクは上位で安定した戦いを続けている。

高い能力を持つ選手たちが個々に力を発揮している

基本フォーメションは4-2-3-1で、各ポジションに質の高い選手を揃えている。ボールをポゼッションすることにこだわりはなく、素早くゴールを目指すのが特徴だ。ナウド、クノッヘといった自陣でボールを持ったセンターバックからもどんどんタテにパスが出る。両サイドバックのロドリゲス、ユンクのポジションも当然のように高い。

一方で、前線、中盤の選手が高い位置からプレッシャーかけてボールを奪い、素早くショートカウンターを仕掛ける戦いもできる。ボランチのルイス・グスタヴォ、ギラヴォギは守備範囲が広く、展開力がある。トップ下のヴィエイリーニャ、カリギウリ、デ・ブライネ、ペリシッチといった選手たちはみな運動量が多く、献身的な守備を見せる。

そして、前線には身長196センチとスケールが大きなドストがいる。今シーズンのドストは好調で、11試合で13得点とハイペースでゴールを量産している。これらの選手たちがショートパスを何本もつないで攻撃をビルドアップするのではなく、短時間で、少ないパス本数でフィニッシュまで持っていくのがヴォルフスブルクのサッカーである。

ひとつの特徴をあげると、同サイドでパスをつなぐことが多い傾向がある。これはヘッキング監督が指向するスタイルで、大きなサイドチェンジをして時間を使うよりも、タテパスを出してゴールを目指す狙いがある。圧巻だったのは第18節のバイエルン戦で、立ち上がり4分に自陣でのパスカットからカウンターを仕掛け、最後はドストが決めて先制点を奪った。その後はバイエルンに主導権を握られたが、カウンターから次々にゴールネットを揺らし、4-1の快勝を収めている。

ヴォルフスブルクの好調はELでも続き、決勝トーナメント2回戦ではインテルと対戦し、勝利している。インテルのマンチーニ監督は、「いいチームでなければブンデスリーガで2位にはなれない。とくに弱点がないチーム」とヴォルフスブルクのことを評している。

好成績に満足することなく、冬の移籍市場でチェルシーから3200万ユーロ( 約43億円)でシュールレを獲得するなど、戦力強化に余念がない。資金力を考えると、シーズン後にもビッグネームを獲得する可能性が高い。なぜなら、間違いなくCL出場権を獲得して今シーズンを終えるからだ。ヘッキングの下、ヴォルフスブルクの進撃はしばらく続きそうだ。

文/飯塚健司

theWORLD160号より転載

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