アジアの厳しさとは”桁違い” 南米、欧州王者、ガーナ、までもが大苦戦する各大陸予選の異常ぶり

顔を覆うメッシ photo/Getty Images

ワールドカップ本番より厳しい争いも

8月31日、9月5日の2試合で2018ロシアワールドカップ・アジア最終予選は幕を閉じた。まだプレイオフは残っているものの、現段階では日本、韓国、サウジアラビア、イランの4チームが出場を決めている。アジアの戦いも年々難しくはなってきているものの、他の地域の厳しさは想像するだけで恐ろしいものがある。

まずアフリカ予選では、すでにカメルーン代表の敗退が決定。アフリカ予選ではグループAからEの5組の中から各組1位しか本大会に進むことができないため、カメルーンのような実績のあるチームでも敗退してしまうケースがある。その争いは熾烈だ。

とりわけ今回の予選で目立つのはワールドカップ出場経験のない国の躍進だ。グループBでは本大会出場経験のないザンビア代表が2位と奮闘しており、同じ組に入ったカメルーンと前回大会ベスト16のアルジェリア代表が敗退に追い込まれている。首位はナイジェリア代表だが、次節のザンビアとの直接対決の結果次第では勝ち点が10で並ぶ可能性もある。
グループDで首位に立つブルキナファソ代表、2位のカーボベルデ代表も本大会出場経験はない。それでもブルキナファソはFIFAランク47位と力をつけており、セネガル代表と南アフリカ代表が苦しい立場に追い込まれている。

最後のグループEではエジプト代表が首位に立っているものの、それを勝ち点差2で追うウガンダ代表も不気味な存在だ。タレント力ではエジプトが上回っているものの、全く安心できる状況ではない。また、ウガンダが奮闘していることによって強豪国のガーナ代表が3位と苦戦中だ。

南米予選では相変わらずアルゼンチン代表が勝ちきれず、今回の2連戦もドロー。5日にはホームで最下位のベネズエラ代表に1-1と引き分け、順位は5位のままだ。このままではプレイオフに回ることになる。ベネズエラも最下位には沈んでいるが、今夏韓国で開催されたU-20ワールドカップでは準優勝したチームだ。まだまだ若いチームだが、決して実力がないわけではない。そんなチームがグループ最下位というのも恐ろしい。

さらに今回の2試合ではコパ・アメリカ王者のチリ代表がまさかの連敗。パラグアイ代表に0-3と完敗を喫すると、ボリビアとのアウェイゲームも0-1で落としてしまった。これで順位は6位にまで下がり、出場圏外だ。南米予選は残り2試合だが、チリは最終節にアウェイですでに突破を決めているブラジル代表との対戦が控えている。苦しい戦いになることが予想されるため、まさかの南米王者、そして今夏のコンフェデレーションズカップで準優勝したチリが出場権を逃すなんてシナリオも十分に考えられる。

欧州予選も説明不要なほど厳しい戦いで、グループAではオランダ代表がEURO2016予選に続いて大苦戦。現在は2位スウェーデン代表と勝ち点差3の3位で、プレイオフ圏内にすら入れていない。グループBでは首位のスイス代表がなかなか勝ち点を取りこぼさないため、EURO2016王者のポルトガル代表がプレイオフに回るシナリオも出てきている。プレイオフも欧州の対決は非常に厳しいため、欧州王者と言えども安心はできない。

グループDでは2連勝を飾ったウェールズ代表が勝ち点を14に伸ばして2位に入り、同18で首位のセルビア代表を追っている。3位は同13のアイルランド代表で、ウェールズとアイルランドは最終節で直接対決することになっている。グループGはスペインとイタリアが同居しているため、どちらかがプレイオフに回らなければならない。今のところは2位がイタリアとなっており、スペインとの勝ち点差は3だ。チーム状況を考えるとイタリアがプレイオフに回る可能性が高い。

グループIでは首位クロアチア代表と2位アイスランド代表が勝ち点16で並び、3位には同14でウクライナ代表、4位は同14でトルコ代表と大激戦だ。次節はトルコとアイスランド、最終節ではウクライナとクロアチアが激突することになっており、ワールドカップ本大会以上に厳しいかもしれないグループステージとなっている。

日本が突破を決めたアジアの予選も決して楽ではないが、やはり南米や欧州の予選は特別だ。実力を持った国でも出場を逃す可能性は大いにあり、チーム作りも兼ねてなど生易しいことは言っていられない。各大陸の予選も残り僅かとなったが、どんなドラマが待ち受けているのか。本大会はまだ9か月先だが、予選だけでもサッカーファンを楽しませてくれる大激戦となっている。

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