敗戦後に口を開けば審判への不満ばかり…… サッカー界はビデオ判定の導入急ぐべき

UCLでも問題シーン連発

18日にチャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグでレアル・マドリード相手に2-4で敗れたバイエルンの選手からは、審判への批判が相次いだ。この試合では後半39分にアルトゥーロ・ビダルがマルコ・アセンシオを倒したとの判定で2枚目のイエローカードを受けて退場となったが、リプレイで見るとビダルの足はしっかりとボールに入っており、正当なチャレンジだった。さらにクリスティアーノ・ロナウドが延長戦で決めた2得点はどちらもオフサイドのように見え、これにもバイエルンの選手や指揮官のカルロ・アンチェロッティから批判が出て いる。

ただし、不満に感じたのはバイエルンだけではない。レアルは後半8分にカゼミーロがペナルティエリア内でアリエン・ロッベンを倒したとの判定でPKを取られてしまったが、カゼミーロは触っていないと猛抗議。リプレイで見てもロッベンはダイブだったように思える。レアルは1stレグでもフランク・リベリのシュートがダニエル・カルバハルの腕に当たったと判定されてPKを奪われており、仮にレアルがベスト4進出を逃していた場合でも審判への不満が出ていたはずだ。

最近は昨年12月に日本で開催されたクラブワールドカップでも試験的に導入されたビデオ判定システム(VAR)が話題となっているが、これだけ判定に不満が出るようならばテクノロジーの力に頼った方 がいいかもしれない。特に今季のチャンピオンズリーグでは誤審が多く、レスター・シティ対アトレティコ・マドリードの1stレグでもアントワーヌ・グリーズマンがペナルティエリアの外で倒されたにも関わらず、主審はアトレティコにPKを与えている。結果論だが、あのPKがなければレスターがベスト4に進めた可能性だってある。他にもドルトムントとモナコの1stレグではモナコFWキリアム・ムバッペの位置がオフサイドだったにも関わらず、審判が見逃したことでモナコに先制点が入っている。
当然こうしたミスジャッジで敗れたチームは試合後に審判を批判することになり、1stレグ終了後レスターの指揮官クレイグ・シェイクスピアはPKの判定について「不当な扱いを受けた。間違いなくファ ウルだが、ボックスの外でのものだ」とコメント。ドルトムントのトーマス・トゥヘルも1stレグのモナコの先制点がオフサイドだったことについて「間違いなくオフサイド。なぜこのレベルであれを見逃すのか」と怒りを露わにしている。

オフサイド、ペナルティエリア内でのハンド、PK、レッドカードは試合の流れに大きく影響を与える判定となるため、絶対にミスは許されない。ビデオ判定をするたびに試合が止まってしまうことを問題視する意見は多いが、試合後に選手や指揮官の口から出てくるコメントが審判への批判ばかりというのも問題だろう。「完敗だった」、「相手チームの方が上だった」と対戦相手を称えるようなコメントはなかなか見られず、審判のファウルの基準やPKを見逃 したことなど、批判がメインとなってしまうケースが目立つ。

また、テクノロジーには人間を黙らせる力がある。例えば15日に行われたミラノダービーがそうだ。この試合では後半ロスタイムにミランDFクリスティアン・サパタが放ったシュートがバーに当たってゴールライン上でバウンドし、インテルの選手が慌てて外に蹴り出すシーンがあった。ミランの選手たちはゴールラインを割っていたと得点をアピールし、インテルの選手たちは入っていないと主張。しかし最後には主審がゴールライン・テクノロジーで得点を認め、インテルの選手たちはその判定に何も言うことができなかった。そもそもロスタイムが長すぎるとの批判は出ていたものの、ゴールが決まったかどうかという最も重要な 部分はテクノロジーのおかげでしっかりと判断することができた。

ビデオ判定はゴールライン・テクノロジーほどスムーズに判定できるわけではないが、同じように両チームを納得させることはできる。これほど審判への批判が目立つのならば、他の競技のように時間をかけてでもリプレイ検証をすべきではないだろうか。頑固なフットボールファンは首を縦に振らないかもしれないが、映像技術の発達によって見ているほうにはシロかクロかが鮮明に分かってしまうような時代になった。もう人間の目だけに頼るやり方は限界が来ていると言って差し支えないだろう。

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