名良橋晃の定点観測♯31「Jを賑わす選手たち。ベテランから若手まで注目選手をピックアップ!」

変わらない活躍を続ける経験豊富な選手たち

2017シーズンが開幕し、約1か月が経過しました。すでにさまざまな話題が満載で、取り上げたい内容がたくさんあります。そこで今回は、いま私が気になっている選手をピックアップしたいと思います。

まずは、やはり横浜FCのカズさん(三浦知良)です。3月11日に開催されたJ2第3節ザスパクサツ群馬戦で得点し、リーグ最年長ゴールを更新しました。まだまだこれからも私も含めた同年代たちにパワーを与え続けてほしいです。

対戦相手の群馬のベンチには、40歳の盛田剛平がいました。この試合での出場はありませんでしたが、開幕戦では途中出場しています。駒沢大から浦和レッズに入団したときに「利き足は頭です」と言って話題になりましたが、そこからセレッソ大阪、川崎フロンターレ、大宮アルディージャ、サンフレッチェ広島、ヴァンフォーレ甲府を渡り歩き、現在地にたどり着きました。身体が大きく、FWからCBまでできる選手なので、今後森下仁志監督がどんな起用をするのか注目しています。
経験豊富な選手たちは、裏を返せば常に引退と隣り合わせで、いつも危機感を持ってプレイしています。甲府の中盤は小椋祥平、兵働昭弘、田中佑昌という長年Jリーグでプレイしてきた3人で構成されていて、各選手がしっかりと活躍しています。小椋祥平は粘り強いマークが身上ですが、ガンバ大阪に所属した昨シーズンはなかなか結果を残せませんでした。それだけに、復活にかける強い思いとともに、危機感を持ってプレイしていると思います。

G大阪の遠藤保仁はアンカーという新しいポジションにチャレンジしています。長谷川健太監督が新しいシステムに着手し、新たな役割を与えられたと知ったときは少し心配しましたが、最終ラインの3人、ファビオ、金正也、三浦弦太が安定し、インサイドハーフの2人、今野泰幸、倉田秋が献身的にアップダウンすることでチーム全体が機能し、遠藤保仁もしっかりと存在感を示しています。

ジュビロ磐田の中村俊輔もJ1第2節大宮戦で移籍後初ゴールをマークし、ここにありというところを見せました。磐田の中盤にはウズベキスタン代表のムサエフがいるのですが、守備能力の高いこの選手の存在が磐田と中村俊輔にとってかなり効いています。今季、ムサエフはJ1のなかで高い評価を得る選手のひとりになるかもしれません。

彼らのほかにも、長くプレイを続ける経験豊富な選手にはやはりそれだけの存在理由があります。コンサドーレ札幌では小野伸二、ケガをしてしまいましたが稲本潤一がチームのために頑張っています。アルビレックス新潟の富澤清太郎もまだJ1でタイトル獲得がない“若い”と言えるチームにいい影響を与えるのではないでしょうか。

J2の東京ヴェルディには橋本英郎、二川孝広が、J3のSC相模原では川口能活が日々汗を流しています。世間の注目はどうしても若く、将来性のある新しいスターに向きがちですが、こうした経験や実績のある選手たちの存在も注目をしてほしいです。

大卒、高卒ルーキーも豊作。群馬からまたひとり逸材が!?

存在感を示している選手は他にもいます。川崎からサガン鳥栖に移籍した原川力は柏レイソルとの開幕戦で挨拶代わりのゴールを決めると、第3節広島戦でも決勝点となる直接FKを決めてチームに勝点3をもたらしました。また、鳥栖の前線にはコロンビア代表のビクトル・イバルボという「個」の力を持つストライカーが加わりました。豊田陽平や鎌田大地、そして原川力と連携していったいどのような攻撃を仕掛けるのか……。うまくかみ合えば、鳥栖はJ1屈指の攻撃力を持つチームに仕上がるかもしれません。

浦和の関根貴大もサイドから積極的にドリブルで仕掛け、ゴールにからむ仕事をしています。ACLのFCソウル戦でも俊敏な動きで相手DFを翻弄し、1得点をマークするとともに5-2の大勝に貢献しています。同じく鹿島アントラーズの鈴木優磨も好調で、ピッチに立つ度にゴールしている印象があります。鹿島の前線は選手層が厚く交代出場が多いのが現状ですが、私は先発で起用すべきだと思っています。というより、自然とそうなっていくでしょう。クラブで結果を出し、日本代表へ──。両名はそうした道を歩んでいると思います。

法政大からベガルタ仙台に加入し、開幕戦からスタメン出場を続けている永戸勝也も良いプレイを見せています。タテへの推進力、運動量があり、左ウィングバックのポジションで主導権を握り、攻守両面でチームの勝利に貢献しています。積極的にドリブル突破を仕掛けるタイプで、走力、シュート力ともにあるので今後が非常に楽しみです。
大卒ルーキーでは日体大から群馬に加入し、やはり開幕戦から出場している高井和馬も気になります。過去、群馬は江坂任、瀬川祐輔(いずれも現在は大宮)という選手を生み出していますが、この2人はいずれも背番号「26」をつけていました。そして、今シーズンこの背番号を引き継いだのが高井和馬で、第2節湘南ベルマーレ戦ですでにプロ初ゴールを奪っています。突破力&得点力を兼ね備えており、自らのプレイでチームに勝利をもたらす力を持った選手だと言えます。

湘南の高卒ルーキー、市立船橋高出身の杉岡大暉もチームのスタイルにすぐにはまり、開幕戦から出場を続けています。市立船橋高の同級生で新潟に加入した原輝綺も三浦文丈監督の信頼を得て、守備的MFのポジションをつかんでいますし、青森山田高からジェフ千葉に加入した髙橋壱晟も同じく着実に経験を積んでいます。

シーズンが開幕したばかりなのに、取り上げたい選手、紹介したい選手がたくさんいます。また、いまは試合に出ていませんが、これから頭角を表わし、今年の“顔”になる選手が出てくるかもしれません。というより、ぜひ出てきてほしいと思っています。

構成/飯塚健司

theWORLD184号 2017年3月23日配信の記事より転載

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