プレミア勢復活のヒントはレスターにあり? 欧州の舞台では”美しさではなくフィジカル”で勝負すべき

スマートなアーセナル、マンCが姿消す

スマートなアーセナル、マンCが姿消す

泥臭さの象徴ともいえる岡崎 photo/Getty Images

近年はイングランド勢がチャンピオンズリーグで苦戦しているが、今季もアーセナルとマンチェスター・シティがベスト16で姿を消した。優勝候補のバイエルンと当たってしまったアーセナルはまだしも、マンCはモナコに2試合で6点も奪われる悲惨な内容だった。イングランド勢の脆さがよく表れていた戦いだったと言えよう。一方、最も可能性が低いと言われたレスター・シティがセビージャを破ってベスト8に進出。今季は開幕から不安定な状態が続いていただけに、リーガ・エスパニョーラで好調を維持するセビージャを撃破したのは驚きだった。

しかし、レスターの勝利をただのサプライズで済ませることはできない。レスターの戦い方こそイングランド勢にとって大きなヒントになるかもしれないからだ。レスターのスタイルはアーセナルやマンCに比べると美しさに欠け、ボールを繋ぐテクニックなどは明らかに劣る。選手層も両クラブの方が豪華で、ワールドクラスと言える選手も数名所属している。しかしレスターには両クラブにはない泥臭さがある。

日本代表FW岡崎慎司とエースのジェイミー・バーディは前半から相手を追い回し続け、指揮官がクレイグ・シェイクスピアに代わってからは中盤での激しいプレスも復活。とにかく体を投げ出してボールを奪いに行っている。センターバックのウェス・モーガンとロベルト・フートはプレミアリーグらしい高さとパワーを兼ね備えたDFで、サイドからの単純なクロスには滅法強い。彼らはセットプレイ時にも武器となり、モーガンはセビージャとの2ndレグで得点まで決めている。

このやり方はアーセナルやマンCに比べるとスマートではないが、セビージャは明らかに嫌がっていた。パスを繋ごうとする最終ラインの選手がバーディと岡崎の激しいチェイスに焦る場面も何度かあり、これはスペインではなかなか味わえないものだったはずだ。さらにレスターはボールを奪えばシンプルにバーディを走らせる策を取っており、バーディのスピードにもセビージャのDFは苦戦気味だった。こうした泥臭さはアーセナルやマンCには見られないもので、他リーグのクラブと戦う場合にはイングランドらしいフィジカルバトルに持ち込んだ方が良いとも言える。

今季開幕前、イングランド国内では魅力的なサッカーを展開するジョゼップ・グアルディオラがマンCの指揮官に就任したこともあり、よりポゼッションを重視したサッカーがイングランド全体に浸透するのではないかと言われていた。かつてグアルディオラの指導を受けたシャビもイングランドのスタイルが変わると期待していたほどだ。

しかし、世界の流行を無理に取り入れようとする必要はない。近年はバルセロナやバイエルンなどボールを支配して戦うチームが多く、ポゼッション率を高めることこそ勝利への近道といった見方もあった。しかし、イングランドの持ち味はパワーやスピード、ファイト溢れる激しいプレイなどだ。美しいサッカーをしようとするチームが増えた今、こうしたフィジカルバトルを嫌がるチームも多いはずだ。

プレミアリーグの中でも繋ぐのが上手いと言われているアーセナル、マンCの両クラブが姿を消し、決して美しいとは言えないレスターが勝ち上がったことは大きなヒントになるはずだ。バルセロナやレアル・マドリード、バイエルンなど強豪クラブに美しい攻撃的なサッカーで対抗しようとするのではなく、パワーやスピード、運動量で対抗する方がいいかもしれない。

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