UCL1stレグをアウェイで戦うのは本当に有利か? 目立つ2位通過組の躍進と首位通過組の無策ぶり

ホーム側が大勝の試合多く

ホーム側が大勝の試合多く

バルセロナを撃破したPSG photo/Getty Images

22日までにチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦1stレグの全8試合が行われたが、この8試合で目立ったのはグループステージを2位で通過したチームの躍進だ。チャンピオンズリーグではグループを首位で通過したチームが2ndレグをホームで戦うことになっており、これは首位通過のアドバンテージの1つになっている。1stレグをホームで戦う方がいいか、2ndレグをホームで戦う方がいいかは指揮官の好みにも左右されるだろうが、今大会では首位通過組がアウェイでの1stレグを上手く戦えていない試合が多かった。

最も印象的だったのは14日のPSG対バルセロナの一戦だろう。今回もバルセロナ有利かと言われたが、アウェイのバルセロナはPSGに大苦戦。1stレグを0-4で落としてしまい、さすがのカンプ・ノウでも逆転するのは難しい点差がついてしまった。さらに15日のバイエルン対アーセナルの一戦でも、アウェイのアーセナルは1-5の大敗を喫している。もっとも、チャンピオンズリーグともなれば首位通過組と2位通過組の間にそれほど大きな実力差があるわけではない。今回のバイエルン対アーセナル、PSG対バルセロナはどちらが勝っても不思議はない好カードだ。ただし、アウェイでの戦い方には大きな問題がある。

バルセロナの場合、PSGのホームで戦うことを考えずにいつも通りのスタンスで試合に入っている。その結果相手の司令塔であるマルコ・ヴェッラッティを自由にしすぎてしまい、相手の攻撃を抑えることができなかった。アウェイで戦うのであれば、何か対策を打つべきだろう。アーセナルもアウェイゴールを奪って1-1で前半を折り返したところまではよかったが、その後大量4失点。DFローラン・コシェルニーが試合途中に負傷交代したのは痛かったが、ホームでの2ndレグを考えてもっと守備に徹した戦い方を選んでもよかったかもしれない。
2位通過のレアル・マドリードと対戦したナポリもそうだ。ナポリは前半早々に先制したが、その後はレアルの力を見せつけられて2失点。後半4分の時点であっさり逆転されてしまった。しかし、アウェイでの1stレグを1-2で終えるのはそれほど悪い結果ではない。ましてや相手が昨季王者レアルならなおさらだ。このスコアのままホームに帰ったならば、勝てる可能性があっただろう。しかし、ナポリはもったいない形から3点目を与えている。3失点目のシーンではGKペペ・レイナがパスを繋ぐことにこだわり、自陣ゴール付近で味方とパスを交換。最終的には縦パスを右サイドの高い位置でカットされてしまい、そこからレアルが上げたクロスのクリアボールをカゼミロに豪快ボレーで叩きこまれてしま った。カゼミロのシュートはどうすることもできないパーフェクトショットだったが、そもそもアウェイのナポリは自陣であれほど繋ぐことにこだわる必要があっただろうか。1-2でも良いとの考えがあれば、セーフティに前線へ蹴る選択肢もあったはずだ。少なくともGKがキックフェイントで相手FWをかわすようなリスキーな行為はしないだろう。

今大会の1回戦1stレグでは合計34得点が決まっており、これは2011-12シーズンの決勝トーナメント1回戦2ndレグに並ぶ最多タイの記録だという。確かに大量得点が決まって面白い試合もあったが、2ndレグに可能性が残らないような残念な試合があったのも事実。今大会はアウェイ側も自分たちのサッカーをやろうと積極的にトライし、その結果が大量失点に繋がったようなところがある。アウェイでの1stレグを慎重に進めようとの思いがあれば、4失点や5失点まではいかなかったはずだ。

昨季と比較すると、昨季は1回戦1stレグでホーム側の2位通過組が勝利したのはたった2試合だ。それもどちらも1点差だ。それに対して今大会はホーム側が勝利したケースが6試合もあり、2位通過組がベスト8に多く入りそうな気配だ。もちろん昨季に比べて今季はバイエルンやレアル、マンチェスター・シティなどが2位に回る豪華な大会となっているのも事実なのだが、それでも2ndレグのことを考えていないかのようなワンサイドゲームが目立つ。1stレグをアウェイで戦うことは特大のアドバンテージというわけではないが、首位通過組の各クラブ指揮官はホームで迎える2ndレグをどう戦うかを考えたうえで1stレグの戦術プランを考えるべきだったのではないだろうか。

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