ザックJAPANと同じく日本には90分守り切る力がない アンラッキーではない”事故の連発”

相手にボールを持たせすぎでは

相手にボールを持たせすぎでは

PKから失点した日本 photo/Getty Images

11日に2018ワールドカップアジア最終予選でオーストラリア代表と対戦した日本代表は、先制しながらも1-1のドローで終えてしまった。敵地で勝ち点1を獲得したのは悪くない結果だが、勝ち点3を掴むチャンスが十分あっただけに悔しい気持ちも残る。しかも、唯一の失点がPKだったことも非常にもったいなかった。

日本はここまで最終予選4試合を戦い、初戦のUAE戦でフリーキックとPK、第3節のイラク戦でフリーキック、そして今回のPKと流れの中からは得点を奪われていない。しかし、少々事故が多すぎる。UAE戦では自分たちのパスミスからフリーキックのチャンスを与えてしまい、PKも3人で相手選手を囲んでいたにも関わらず与えてしまったものだった。

イラク戦もシンプルなフリーキックだったが、あっさりと失点。今回のオーストラリア戦のPKも判定が厳しかったとの意見もあるが、原口元気のチャージは少し遅れてしまっていた。後方から押したと判断されても仕方がないだろう。チーム全体で守りに徹するやり方は決して悪くはなかったが、日本には相手を90分間抑え込むだけの守備力がなく、どこかで必ず事故が起こる。オーストラリアにも決定機は許さなかったが、PKを与える事故が起きてしまった。
PKを与えてしまった原口も焦りが出たのは分かるが、この試合ではショルダーチャージで何度かファウルを取られている。本人にはファウルをした感覚がないかもしれないが、それを決めるのは審判だ。そして今回の審判は原口のチャレンジを何度かファウルと取っていた。それを考えると、ペナルティエリア内で強引にボールを奪いに行くのは危険だ。細かな判断だが、それも含めて守備力だ。まだまだ日本にはこうした一瞬の判断ミスによる事故が起きてしまう。

やはり問題はボールを奪った後だろう。この試合ではとにかく前に蹴り返すシーンばかりが目立ち、それを回収することはできなかった。何度か1トップの本田圭佑が体を張ってボールを収める場面もあったが、そんなシーンは数えるほどしかない。繋ごうにも不用意なパスミスも目立ち、とにかくゲームを落ち着けることができなかった。確かに流れの中からの失点はないが、相手にボールを持たれる時間が長くなるとセットプレイを与える可能性も必然的に高くなる。それは守備がそれほど堅くない日本にとって非常に危険でリスキーなやり方だ。

守備が脆かったのはザックJAPANの頃から変わらず、当時も守備のミスは目立っていた。しかしボールを持つ時間を長くし、相手の攻撃を受ける回数を減らすことで守備の脆さを見えにくくしてきたところがある。それが今では守りを固めるだけで、ボールを奪ってからも繋ぐことができなくなってしまっている。

流れの中からは失点がないと言えばアンラッキーにも聞こえるが、4試合中3試合で失点があればアンラッキーでは済まされない。たとえそれが不運なPKやフリーキックだったとしてもだ。今回のオーストラリア戦も上手く守れている時間の方が長かったが、ボールを持って落ち着く時間も必要だ。守る、奪う、縦に急ぐ、また守るのプランしかないようでは、今後も苦しい戦いが続くだろう。

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