ジョゼップ・グアルディオラからカルロ・アンチェロッティへ。監督が変わったことで、絶対王者であるバイエルンになにか変化が起こるだろうか? まだシーズン前だが、おそらく答えは否だ。そもそも、昨季達成した前人未踏の4連覇は、グアルディオラだけの力で成し遂げたものではない。
連覇に向けたスタートとなった2012-13シーズンの優勝に導いたのは、ユップ・ハインケスだった。グアルディオラが指揮官に就任したのは、その翌年から。つまり、バイエルンは監督が変わることで大きな影響を受けるチームではない。5年間で3人目の監督を迎えるのは強豪クラブとしては異例かもしれないが、選手の顔ぶれが大きく変わっているわけではなく、芯となる部分はブレていない。
フィリップ・ラームは在籍12年目を迎え、フランク・リベリは11年目を迎えた。トーマス・ミュラー、アリエン・ロッベン、ダビド・アラバといった選手たちもすでに8年~9年をバイエルンで過ごしており、お互いのプレイスタイルを熟知している。彼らの連係が監督交代によって崩れることはない。
加えて、毎シーズン効果的な補強を行なってきた。ジェローム・ボアテング、マヌエル・ノイアー、ハビ・マルティネス、チアゴ・アルカンタラ、ロベルト・レヴァンドフスキ、ドウグラス・コスタ、アルトゥーロ・ビダル、キングスレイ・コマン。これらの選手たちは適応力があり、加入1年目から活躍して勝利に貢献してきた。ドイツ代表常連のマリオ・ゲッツェでさえポジションがなかったほどの厳しい生存競争であり、必然としてハイレベルなパフォーマンスが発揮されてきた。
アンチェロッティは経験豊富で、自分がやるべきことをよく理解している。『ESPN』の報道によれば、「私はバイエルンに革命を起こしたくはない。なぜなら、このチームはグアルディオラとともに素晴らしいプレイをしていた。なので、自分のアイデアを加えていきたいとは思っているが、大きく変えようとは考えていない」という言葉を残している。やはり、監督が変わったからといってバイエルンが大きく変化することはなさそうだ。
むしろ、今季もとても効果的な補強に成功している。昨季はCBが立て続けに負傷し、選手のやり繰りに困った時期があった。こうした事態に対応し、守備を強化するべくドルトムントからマッツ・フンメルスの獲得に成功している。ドルトムントの主力を獲得するのはここ数年でゲッツェ、レヴァンドフスキに続いて3人目で、この事実だけを見ると両者はライバルではなく主従関係にあるといっても過言ではない。
攻撃面ではEURO2016でポルトガルの優勝に貢献したレナト・サンチェスを加えている。中盤の攻撃的なポジションは選手が余っていると思われるが、さらに運動量豊富で技術力も高いレナト・サンチェスの補強である。どこにもスキが見当たらず、今季もバイエルンは間違いなく強い。よほどのアクシデントがない限り、5連覇を達成するだろう。