名良橋晃の定点観測♯17「FC東京、G大阪は補強に成功。新潟、柏、名古屋は未知数。闘莉王には現役を続けてほしい」

柏は立て直しが必要。苦戦する可能性がある

柏は立て直しが必要。苦戦する可能性がある

吉田監督をはじめ、工藤、鈴木など主力が抜けた柏は苦戦する可能性がある。Photo/Getty Images

2016Jリーグ開幕に向けて、各クラブが動き出しています。今季もいろいろな見どころがありますが、私はまず監督が変わったチームに注目しています。城福浩監督が復帰したFC東京は、阿部拓馬、水沼宏太、秋元陽太、駒野友一など実績のある選手を獲得しました。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)を見越してしっかり補強したなという印象があり、今季にかける意気込みが感じられます。

新潟が招聘した吉田達磨監督は、ポゼッションサッカーを得意としています。対して、昨季まで新潟を指揮していた柳下正明監督は堅守速攻のスタイルで戦っていました。異なる特徴を持つ吉田監督が就任したことで新潟は変化する可能性があるので、新しいチームカラーが出てくることを期待しています。

一方、その吉田監督を放出した柏はブラジルのミルトン・メンデス監督を迎えました。昨季の柏は成績、内容ともに悪くなかったと思うので、正直に言うとなぜ監督を交代したのか疑問があります。福岡のJ1昇格に貢献したGK中村航輔が復帰しましたが、クリスティアーノ、工藤壮人、鈴木大輔、藤田優人、キム・チャンス、菅野孝憲など複数の主力選手が退団したのがとても気になります。ミルトン・メンデス監督のもとチームを立て直さなければいけない状況で、苦戦するかもしれません。

新しくチームを作るという意味では、名古屋の小倉隆史監督もなかなか難しい状況でスタートを迎えています。ノヴァコビッチ、レアンドロ・ドミンゲス、ダニルソン、田中マルクス闘莉王といった経験豊富な選手だけでなく、牟田雄祐、本多勇喜といったこれからの成長が見込まれる選手も退団しました。新加入のオーマン、シモビッチという2名のスウェーデン人選手がどれだけ力を発揮できるかがカギを握っていると考えられます。彼らがうまく日本のサッカーにフィットできないと、難しいシーズンになるでしょう。

Jリーグでプレイする外国籍選手は、スピーディな展開やポジションを問わず走ることが求められるので戸惑うケースがあります。どれだけ高い技術力があっても、Jリーグのリズムに慣れなければ結果を残せません。また、ヨーロッパの選手たちは日本独特の蒸し暑い夏場の気候に苦しむことがあります。いずれにせよ、外国籍選手が入れ代わった名古屋は2名のスウェーデン人選手がいかに日本のサッカーに馴染むかがポイントになると思います。

昨季は横浜Mのアデミウソンが短期間でJリーグに慣れ、質の高いパフォーマンスを継続して発揮しました。この事実を踏まえて考えると、今オフにそのアデミウソンを獲得したG大阪は大きな補強に成長したと言えます。さらには、同じ横浜Mから藤本淳吾も獲得したことで確実に選手層が厚くなっており、G大阪は今季も複数のタイトルを狙える陣容になっています。逆に、横浜Mは両名の抜けた穴を早急に埋めなければいけない状況です。

闘莉王が鳥取に加入すると、ドリームチームが誕生する

J2では前回のコラムで私が疑問を投げかけた千葉が多くの選手を入れ替えました。「生まれ変わらなければ」という強い決意を持って行なった改革だと思います。新加入選手は千葉県出身者が多く、地元のジェフをJ1に昇格させるべく、みんな強い気持ちを持って加入したのは間違いありません。2年先、3年先というよりも、なにがなんでも今季に昇格するんだという戦力であり、あとは関塚隆監督がいかにスタイルを構築し、ブレずに戦っていけるかだと思います。

とはいえ、これだけ選手が入れ代わるとチーム作りは簡単ではありません。選手全員が同じ意識を持つことが大事で、不満を持つ選手がひとりでも出てくるとチームは機能しなくなり、結果を得られなくなります。一体感やまとまりがないと、流れが悪くなったときに悪循環に陥ってしまう危険性があります。こうした事態を避けるためにも、チームをまとめる選手が重要になってきます。誰がその役目を務めるのか現時点ではわかりませんが、2人~3人は統率力のある選手が必要になってくるでしょう。

ドルトムントから丸岡満、バーゼルから柿谷曜一朗が復帰し、昨季のナビスコ杯で安定感のあるパフォーマンスを発揮した鹿島の山村和也、さらには川崎から杉本健勇などを獲得したC大阪もまた、充実した戦力を揃えています。選手の顔ぶれをみると、やはりJ1昇格という結果をしっかりと出さなければいけないチームであり、千葉と同じくあとは大熊清監督が分厚い選手層をいかにマネージメントするかで明暗が決まってくると思います。

岡山も楽しみなチームのひとつです。U-23代表の矢島慎也が浦和からのレンタルを延長し、攻撃陣にG大阪から赤嶺真吾、鹿島からやはりU-23代表の豊川雄太を獲得しました。岩政大樹や加地亮といった経験豊富な選手も健在で、上位を狙える戦力が整っています。

個人的に注目しているのが、金沢に加わったロマリーニョです。かつてブラジル代表で活躍したあのロマーリオの実子で、どんな選手なのかものすごく興味があります。ロマーリオと同じFWなのでどうしても比べてしまいますが、もし活躍したなら世界的な話題であり、金沢にとっては「ツエーゲン金沢」を世界にアピールするチャンスです。

最後に、名古屋を退団した闘莉王にはまだまだプレイを続けてほしいです。J3の鳥取がオファーを出したという報道がありますが、引退するのは本当にもったいないのでこの誘いを受けてもらいたいと思っています。移籍が実現すると、野人・岡野雅行がGMを務め、闘将・柱谷哲二監督のもと、闘将・闘莉王が中心選手としてプレイするという話題性十分のドリームチームが誕生します。過去には鈴木隆行が地元である水戸に加入してサッカー界を驚かせたことがありました。鳥取はもちろんJ3を盛り上げるためにも、闘莉王には引退という決断だけはしてほしくないです。

構成:飯塚健司

theWORLD170号 1月23日配信の記事より転載

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