今季前半戦、ドルトムントMF香川真司は覚醒したかのような動きを見せた。セレッソ大阪からドイツへやってきたばかりの頃を知るドルトムントサポーターにとって、あの時の香川が帰ってきたといった心境だろう。後半戦の初戦となったボルシアMG戦には出場しなかったが、英『Trival Football』は前半戦絶好調だった香川を特集しており、ユルゲン・クロップからトーマス・トゥヘルに代わってどんな変化が起こったのかを伝えている。
最も変わったのは、より司令塔らしい動きをするようになったことだろうか。当時は得点を奪うことでチームに貢献していたが、今はより攻撃全体に関わっているイメージだ。これについてミヒャエル・ツォルクSDは、「今のシンジはより高いレベルでプレイしている。彼は再び我々にとってとても重要な選手になったんだ。彼は当時より多くの得点を決めているわけじゃないが、多くのチャンスを作成している」と新たな一面を高く評価している。
さらに、クロップ政権時とポジションも変わっている。トゥヘルはクロップの[4-2-3-1]から[4-3-3]に変更し、香川はイルカイ・ギュンドアンの隣でプレイすることが増えた。さらにトゥヘルは香川に継続性を身につけさせるため、ピッチ外でのトレーニングについてもアドバイスを送ったという。これらの変化について香川本人は次のように述べている。
「クラシックなプレイメイカーを置かない4-3-3は今すごく流行ってますよね。新しい役割は僕にフィットしてると思いますし、今の僕は自信に満ち溢れていますよ。それに、監督は僕たちにとてもリカバリーを求めるんです。これはとても重要なことです。今の僕にはトレーニング、試合、栄養管理、リカバリーの良いサイクルができていますし、監督のアドバイスで新しいリズムができたことを感謝してます。家の近くにジムがあって、ときどき自転車で行くようにもなりましたしね」
セレッソ大阪から出てきたときの香川は結果を求める若武者のようだったが、マンチェスター・ユナイテッドや日本代表で苦しい経験も積んだ今はより落ち着いた選手になったように見える。得点数は減ったかもしれないが、攻撃に絡む回数は明らかに増えており、ムラが少なくなってきたところも大きな進歩と言えるだろう。そしてトゥヘルの下で新たなリズムを掴むことに成功し、リカバリーを意識するプロフェッショナルな姿勢も身についた。香川本人は「古い香川でも、新しい香川でもない。より良くなりたいと思うだけです」と謙虚だ。
そんな香川は後半戦にどんなプレイを見せてくれるのか。完全復活した香川は毎試合のようにサポーターを楽しませてくれるだろう。