2008年からこれまでバロンドールを支配してきたバルセロナFWリオネル・メッシとレアル・マドリードFWクリスティアーノ・ロナウド。2015年は見事メッシが受賞を果たしたが、これほど長期にわたって2人の選手が同賞を争うのは非常に珍しいケースで、他の選手がどれだけ頑張っても2人を追い越すことはできなかった。英『Squawka』は、もしこの2人がいなかったら?と仮定し、2008年から支配されたバロンドールを振り返っている。
2008年:フェルナンド・トーレス(リヴァプール)
まずチェルシー時代のトーレスを忘れる必要がある。思い返せばトーレスはEURO2008でもドイツ代表との決勝戦でゴールを決め、クラブでも絶対的なエースだった。トーレスはこの年クラブで46試合33得点と素晴らしい成績を残しており、本来であればバロンドールを獲得できていたはずだった。
2009年:シャビ・エルナンデス(バルセロナ)
ジョゼップ・グアルディオラ就任後、今がキャリアの絶頂期かもしれないと語ったシャビは、世界に「ティキ・タカ」スタイルを示してみせた。彼を中心としたバルサの絶対的支配は美しく、サッカー界に新たなジャンルを築いた功績を称えてバロンドールを与えられてもおかしくなかった。シャビは2011年にもメッシ、ロナウドに次ぐ3位に選ばれており、中盤の選手がどれだけ頑張っても怪物2人を超えることはできないと分かってきた瞬間でもあった。
2010年:アンドレス・イニエスタ(バルセロナ)
そのシャビから天才と言われるイニエスタは、2010ワールドカップでスペイン代表を優勝に導く決勝点を決めた。シャビ、ブスケッツと構成された中盤は代表とクラブにおいて完璧な連携を誇り、シャビ同様バロンドールを獲得すべき人材だった。イニエスタは2年後の2012年にも2人に次ぐ3位に選ばれており、化け物2人がいなければシャビとイニエスタで4年間バロンドールを支配できるはずだった。
2013年:フランク・リベリ(バイエルン)
2012-13シーズンのバイエルンは最強という言葉がふさわしいチームだった。現在のグアルディオラ率いるチームと対戦しても互角以上に戦えたはずだ。そのチームで攻撃を引っ張る存在だったリベリは、3冠に貢献したとしてバロンドール候補に選ばれた。しかし準決勝でバルサを粉砕しようとも、彼がバロンドールに選ばれることはなかった。
2014年:マヌエル・ノイアー(バイエルン)
ノイアーはシャビやイニエスタと同じくサッカー界に新しいアイディアを与えた選手で、ペナルティエリア内から大きく飛び出してカバーリングを行う彼の姿はGKの哲学に大きな影響を与えた。この年ドイツはワールドカップも制し、スペインに代わって世界を支配し始めた年でもある。GKに新たな概念を植え付けた存在としてバロンドールに選ばれてもおかしくなかった。
2015年:ネイマール(バ ルセロナ)
ようやくメッシとロナウドを撃ち落とす選手が出てきたという印象か。イニエスタ、シャビもバロンドールに選ばれるだけの実力は持っているが、得点数の面でメッシとロナウドには敵わない。しかしネイマールは現在リーガ・エスパニョーラの得点ランクでルイス・スアレスと並んでトップに立っており、ようやくメッシとロナウドと同じ土俵で争える人材が出てきた。来年はネイマールがバロンドール筆頭候補になったとしても何の不思議もない。
上記の選手たちは一時代を築いた名手ばかりだが、それでもメッシ、ロナウドには敵わなかった。それだけ彼らは規格外で、議論にすらならないということなのだろう。しかしその支配ももうすぐ終わり、ネイマ ールなど新たなスター候補がバロンドールに選ばれる日がやってくる。シャビやイニエスタのように全盛期に選ばれなかった者たちは生まれた時代が悪かったと思うしかないだろう。