名良橋晃の定点観測♯13「物足りなかったカンボジア戦。雰囲気を変えるためにも試合会場を変えてみては?」

カンボジア戦は物足りなかったが、アフガン戦での日本代表はプレッシャーから解放されていた。photo/Getty Images

日本代表がW杯アジア2次予選の2試合を戦いました。ホームゲームだったカンボジア戦は34本のシュートを放ちながら3得点に終わり、結果&内容ともに物足りない一戦でした。焦りがあったのか、攻撃に変化がありませんでした。

相手は自陣に引いて中央へ絞り、ゴール前を固めていました。そこへ中央から仕掛けてもなかなかチャンスは作れません。サイドからの攻撃も工夫がありませんでした。「クロスはマイナスのパスで狙う」「積極的にミドルシュートを放つ」。ハリルホジッチ監督から指示されていたこの2つを意識するあまり、攻撃が単調になっていました。少し正直過ぎたのかもしれません。

ボクは右SBだったので酒井宏樹のプレイに言及すると、タテへ突破してマイナスのパスを折り返すだけでなく、柏時代によく見せていたGKとDFの間を狙ったアーリークロスを見たかったです。また、中央へ切れ込んで自分でゴールを狙ってもよかった。とにかく、酒井だけでなく、SBにはゴールにつながるプレイを期待しています。

自分たちがやりたいプレイをするだけでなく、相手をみながら状況に応じて各選手が自由な判断をしていいと思います。カンボジアとの実力差を考えれば、落ち着いてプレイすればもっと納得できる結果や内容を得られたはずです。気持ちが前へ前へと行き過ぎて、スペースがないところにボールを入れてDFにクリアされるシーンが多く見られました。さらには、岡崎慎司や武藤嘉紀はサイドからのクロスを待ちきれず、早過ぎるタイミングでゴール前に走り込んでいました。

シンガポールと引き分け、東アジア選手権にも勝てなかったことで、チーム全体がプレッシャーを感じていたと思います。技術面ではなく、精神面に問題を抱えていて、それが焦りにつながっていました。そこへ、さらにハリルホジッチ監督からの指示が重なり、忠実に遂行しようするあまり自由な判断ができなくなっていた……。この状況を考えたときに、ボクはJリーグの鹿島アントラーズが浮かびました。

鹿島は石井正忠監督が就任してから選手の動きが良くなりました。前任者のトニーニョ・セレーゾ監督は試合中もベンチから細かい指示を出すタイプで、選手が規則にとらわれ過ぎてしまうという一面がありました。石井監督は選手を尊重し、自主性に任せるタイプです。結果として、鹿島は2ndステージで優勝争いをしています。

日本代表も“選手主体”で良いと思います。

ピッチに立ち、実際にプレイするのは選手です。チームにある最低限の約束事を守りつつ、勝つためになにが必要かをその時々で考えて臨機応変に判断すればいいのではないでしょうか。指示を持つのではなく、選手は個性を発揮していいと思います。

また、数年前からW杯予選は埼玉スタジアムで開催していますが、ときおり会場を変えてもいいのではないでしょうか。埼玉スタジアムは日本サッカーの“聖地”ですが、たまには違う雰囲気のなかで戦ったほうがいいと思います。会場が変わると、選手の意識も変わります。もう一度、フレッシュな気持ちで臨めます。国内にはW杯予選を開催できるスタジアムが他にもあるので、たまには違う会場で開催してもいいのではと思っています。

米倉を右SBで見たかった。Jリーグには審判改革を期待

中立地で開催されたアフガニスタン戦は、ホームでのプレッシャーから解放され、緩急をつけた攻撃が良いリズムでできていました。左サイドの高い位置で起用された原口元気がドリブルで相手をかき回し、香川真司の2得点をアシストしました。自由なプレイをしても、結果を出せばいいのです。

これは私の視点ですが、いまの日本代表はハリルホジッチ監督の影響力があまりにも強く、選手にとってプレッシャーになってしまっているように見えます。遠い未来を見据えてたくさんの要求をすることも大事ですが、より重要なのは“選手が”目の前の試合でゴールすること、勝つことです。そのためには、選手が自由に判断し、のびのびとプレイができる環境を作っていく必要があると思っています。

アフガニスタン戦について、もうひとつどうしても言いたいことがあります。後半途中から原口を右SBに起用しましたが、あの場面は米倉恒貴に経験を積ませてほしかったです。ハリルホジッチ監督は左SBで考えているようですが、米倉はG大阪で右SBとして活躍しています。W杯が近付くに連れて、試合の重要度はどんどん増していきます。米倉だけでなく、遠藤航など代表経験の浅い選手はいまのうちに起用してほしいです。

最後にJリーグのレフェリングについて──。今年は疑惑の判定や明らかなミスジャッジが多過ぎます。J2の第31節でもC大阪×栃木で田代有三のハンドが見逃されてゴールとなり、千葉×京都では井出遥也がシュートを決めたのですが、その前に森本貴幸が倒されたプレイがファウルと判定され、ノー・ゴールとなりました。流れから判断すると、森本へのファウルはアドバンテージを取ってプレーオンとするのがベストだったように感じました。

サッカーの魅力を損なうこうしたミスジャッジを失くすためには、現状のままではいけないのは明らかです。Jリーグではゴールラインテクノロジーや両ゴール裏付近にもレフェリーを配置する5人制などを研究していると聞きます。間違った判定を失くすためにも、一日も早いレフェリー改革が実現されることを望んでいます。

構成:飯塚健司

theWORLD166号 9月23日配信の記事より転載

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