名良橋晃の定点観測♯12「東アジア杯に向けて準備不足だったのはハリルホジッチ監督では?」

与えられた条件のなかで結果を出すのが代表監督

与えられた条件のなかで結果を出すのが代表監督

東アジア杯でのハリルホジッチ監督は中途半端だった。photo/Getty Images

日本代表が東アジア杯を戦いました。北朝鮮、韓国、中国と対戦し、2分け1敗で同大会ではじめて最下位となりました。1勝もできなかったことは本当に残念です。良い点もありましたが、まずは疑問に感じたこと、改善すべきだと感じたことを取り上げたいと思います。

ハリルホジッチ監督は大会前にプランがあると語っていました。そのプランとは、Jリーグで活躍する選手にチャンスを与え、能力を見極めることでした。しかし、実際は招集した全選手を起用しませんでした。チャンスを与えるはずが、六反、水本、米本の3人はピッチに立つことがありませんでした。なぜこのような結果になったのかが、今大会でボクが感じたひとつ目の疑問です。

おそらく、初戦で北朝鮮に1-2で競り負けたことで、大会前のプランを変更せざるを得なかったのだと思います。勝たなければいけないというプレッシャーが強くなり、テストすることができなくなってしまった。こうした現象は今回に限らず、ときおり見られます。最近ではアギーレ監督のときにも同じ状況に陥りました。「勝たなければ」というプレッシャーがかかると、指揮官はどうしてもリスクを犯せなくなります。

しかし、それでもすべての選手にチャンスを与えてほしかったです。最初に選手を見極める大会と位置づけたのなら、なにがあってもそのコンセプトを貫くべきだったと思います。

もうひとつの疑問は、3戦目の中国戦で見られました。G大阪で右SBを務める米倉を左SBとし、やはりG大阪でCBを務める丹羽を右SBでプレイさせました。この起用は少し不可解だったと指摘せざるを得ません。日本代表のスタッフ陣は何度もJリーグを視察しているはずです。練習を通じて選手の特徴を把握し、意見を出し合って決定したのだと思いますが、正直まだ選手個々の見極めができていないのだなと感じました。

苦戦した理由として、準備期間が短かったという点が挙げられます。初戦の3日前に開催地の中国入りするなど、たしかに過密日程でした。チームを整える時間はなかったし、選手には疲労がありました。しかし、これは言い訳に過ぎません。前回大会ではザッケローニ監督が同じように国際経験の少ない選手を招集して短期間の準備で臨み、優勝しています。ただ、このときのザッケローニ監督は来日からすでに数年が経っていて、日本サッカーの特徴をある程度は把握していました。

それでも、どんな条件であっても結果を求められるのが代表監督です。与えられた条件のなかでチームをどうマネージメントし、最良の答えを出すのか。「準備期間が足りなかった」というのは、ボクは言い訳でしかないと考えます。今大会に関しては、準備が足りなかったのは選手たちだけではなく、ハリルホジッチ監督を含む日本サッカー界全体だったのだと思います。

遠藤や武藤などが印象に残った。厳しいときこそ真価が問われる

遠藤や武藤などが印象に残った。厳しいときこそ真価が問われる

遠藤は今大会でもっとも印象に残った。U-22代表とA代表をつなぐ存在だ。Photo/Getty Images

東アジア杯は苦戦を強いられた大会でしたが、自分の持っている力をしっかりと発揮した選手もいました。遠藤、武藤、米倉、藤田、倉田、山口が印象に残りました。それぞれ、与えられたポジションで自分の良さを発揮しました。これらの選手は日本代表に生き残る可能性が十分にあると思います。

とくに、北朝鮮戦、韓国戦で右SBを務め、中国戦ではボランチを任された遠藤はもっとも良い印象を残しました。普段は湘南ベルマーレで3バックの右サイドでプレイしていますが、複数のポジションをこなせる非常に賢い選手です。攻撃参加することが多いため、右SBも違和感なく務めていました。U-22代表ではボランチを務めており、中盤でのプレイも問題ありませんでした。遠藤が活躍することで、U-22代表から日本代表への道も開けてきます。ケガなどがなければ、彼は今後も日本代表に招集されるでしょう。

同じボランチの山口も大会を通じて思い切りの良さが目立ちました。球際の激しさがあり、勝ちたいという気持ちがプレイに表われていました。名前を挙げた遠藤、武藤、米倉、藤田、倉田、山口からはいずれも気持ちが伝わってきましたし、心と身体が一体となったプレイをしていました。槙野、森重も初戦は不安定でしたが、2戦目、3戦目では修正できていました。疲れていたのはみんな同じです。そうしたなかで力を発揮できる選手とできない選手が出てきたという事実は、今後のチームを作りに向けてハリルホジッチ監督にとって大きな参考になったと思います。アウェイの厳しい環境、雰囲気のなかで、日本人選手のメンタル、フィジカルがどう変化するのか、貴重なデータが得られたはずです。

最後に、8月11日に行なわれたG大阪×リーベル・プレートのスルガ銀行チャンピオンシップを見て、リーベルのタフさに驚きました。リーベルにとって今大会は、過密日程のなか冬のアルゼンチンから蒸し暑い真夏の日本へ長距離移動しての試合でした。ボクはG大阪が主導権を握り、リーベルはカウンターを狙ってくると予想していました。ところが、リーベルは立ち上がりから素早いプレッシャーをかけ、主導権を握って試合を進めました。

コンディション不良や準備期間が短いというのは、やはり言い訳です。リーベルのタフさを見ることで、厳しい状況のときこそなにができるかが大事なのだと改めて感じました。そういう状況で力を発揮することが、勝負強さ、粘り強さとなり、結果につながる。3-0でG大阪に快勝したリーベルを見て、心の底からそう思いました。

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