名良橋晃の定点観測♯1「方向性が変化した日本代表に不安あり」

名良橋
日本代表

アギーレ監督が過去にやってきたサッカーは、これまで指揮を執ってきたメキシコ代表、オサスナ、A・マドリード、サラゴサ、エスパニョーラなどを見てきたので理解しています。カウンター・サッカーではありませんが、守備が基本になっていて、攻撃のスタイルがある程度パターン化されていました。システムや戦術に選手を当てはめて戦ってきた印象があります。

日本代表での初陣となったウルグアイ戦、続くベネズエラ戦ではこれまで日本代表が採用していたシステムを変更し、さらには新しい選手を積極的に起用しました。最初から監督自身のカラーを出してきましたね。アギーレ・カラーが出ていたと思います。

ただ、前任者のザッケローニ監督のもとで日本代表がやっていたサッカーとは非常に大きな違いがあったため、アギーレ監督がどうこうではなく、なぜ日本サッカー協会(以下JFA)がこのタイミングでアギーレ監督を招聘したのか疑問が残りました。日本代表が目指すスタイルは、今後どうなるのか? 2試合を見ただけでは、まだ先が見えないなと感じました。

ザッケローニ監督はポゼッション・サッカーを指向し、正確に素早くパスをつないで攻撃を仕掛けるスタイルでした。アギーレ監督になり4-2-3-1から4-3-3になり、守備から入るサッカーに変わりました。これまでやっていた選手個々の特徴を生かすサッカーではなく、どちらかといえばシステムや戦術のなかに選手を当てはめるサッカーです。つまり、ザッケローニ監督とアギーレ監督では方向性が違います。そう思えたので、ボクは今後に不安を感じました。

ブラジルW杯の結果を受けて反省し、修正していく。現状、そういう流れにはなっていません。また4年をかけて新たに強化するのか……という不安があります。アギーレ監督は「自主性を大事にする」と言っていますが、それはジーコ監督も言っていたことです。しかし、結果を残せずに終わりました。同じことを繰り返さないためには、JFAがしっかりとアギーレ監督に過去の教訓を伝えておかなければいけないでしょう。

個人的な意見ですが、ボクは代表監督に4年というスパンでチーム強化を任せるのは長過ぎると考えています。2年ぐらいでいい。もし結果が出なければ、交代するのもアリです。評価を下すのは、もちろんJFAです。ただ単にチーム作りをサポートするのではなく、厳しい視線で仕事内容をチェックすることが絶対に必要です。その先にこそ、勝負にこだわる真に強いチームの完成があります。

ボクの経験を例に出すと、厳しい要求をする人がいると、チームは確実に成長します。代表の強化も同じです。誰かが嫌われ役となり厳しいことを言わなければ良くなっていきません。まずは、やはりJFAが変わらなくてはいけないと思います。余裕を持ったチーム作りも大切ですが、常に勝負にこだわった戦いをするように導いていかなければいけない。そうしなければ、ブラジルW杯を戦った日本代表のような本番で力を発揮できないチームが完成してしまいます。

サポーターも変わる必要があると思います。サッカーではメリハリが大事なように、応援でもメリハリが大切です。日本サッカーが成長するためには、サポーターの見る目も変わらなければいけません。日本代表だけでなくJリーグでも、盛り上がるときは盛り上がり、そうではないときは厳しい反応を示す。敵味方に関係なく、良いプレイには拍手。悪いプレイがあったら、味方にも「いまのプレイはダメだ」という意思表示を遠慮なくしてください。そのほうが選手も成長できます。いえ、そういう反応がなければ選手は成長しません。

メディアもそうです。たとえば注目度の高い選手がいると、すぐに持ち上げます。良いプレイをしたときに賞賛し、高く評価するのであれば、悪いプレイがあったときにはしっかりと注文を出すべきです。チームに関してもそうです。ブラジルW杯の反省、修正ということに関して、どれだけ話題になったでしょうか……? とにかく、日本全体がサッカーを見る目を高めていかなければ、日本サッカーは変わっていきません。いまボクは、切実にそう考えています。

構成:飯塚健司 本誌9月23日号に掲載
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